1. 表と裏のある子供
「優等生で感じも良い子が実は裏では友達をいじめていた」
なんて展開はドラマや漫画でよくありますね。
こういう表と裏のある子供は、実際けっこうな割合で存在しています。
言葉にせよ身体的にせよ、相手を傷つける「攻撃性」と、友達とコミュニケーションをとったり規則を守る「社会性」は相反するもののような印象を受けますね。
けれど「攻撃性」と「社会性」が両立する子供が多いことが教育学の研究でもわかってきています。
こういう、腹黒いお子さん(?)は、全体の1割強いるそうです。
2. 両刀遣いの操縦者
友達の良好なコミュニケーションをとったり、先生の指示を聞いたり、ルールを守ったり。
これらは社会的な行動。つまり向社会的な行動ですね。
一方で、言葉や暴力で人を傷つけたり、規則を破ったりすることは反社会的行動ですね。
向社会的な戦術と反社会的な戦術をうまく使い分ける子供を「両刀遣いの操縦者」と言ったりします。
カンザス大学教授のパトリシア・ホーリー氏の調査によると、
子供の中に両刀遣いの操縦者は10人中1人に割合でいるそうです。
3. 表と裏のある子が嫌われない理由
反社会的な行動をとる子供は、他の子供達から嫌われそうですね。
でも実際は違います。
理由は2つあります。
1つ目は、大人に反抗する姿勢が子供からしたら大人っぽくて格好良く見えるから。
2つ目は、アメとムチのように向社会的行動と反社会的行動を使い分けるから。
子供の世界で(大人もそうかもしれませんが)、人に好かれるために必要なのは「反社会的行動をしない」ことではありません。
表と裏のバランスをとって、その使いどころのタイミングをはずさない子供が子供の世界のトップに立つことは珍しくありません。
それが良いか悪いかは別として。
4. おわりに
良い子はいつでも純粋で良い子。
悪い子はいつでも不良。
人間、そんなに単純なものではないようです。
子供の1割前後は表と裏を上手に使い分ける子がいて、そういう子は良いか悪いか他の子供も従えてしまうものです。
こういう二面性を持つ子についての研究はもっと行われるべきなのでしょうが、なかなか研究が進まないのが現状のようです。
なぜなら、二面性のある子供は一見問題がなさそうに見えるので、研究対象としての補助金がおりにくいんだとか。
5. その他の記事
6. 参考資料
ポー・ブロンソン、アシュリー・メリーマン『間違いだらけの子育て』インターシフト、2011年