一人称を使えることについて
個人差はあるものの、3歳頃は「僕」「私」などの一人称を使い始める時期と考えられます。
これは、自分と他人を区別しながら言葉を使う力が育ってきていることを示唆しています。
ただし、日常的に自分の名前を用いる家庭を少なくないでしょうから、必ず一人称を使えないといけない時期とまでは言えないでしょう。
解説
発達の概要
定型発達の観点から見ると、3歳頃の子供は自分を指す言葉として「僕」「私」などの一人称を使える時期です。
それまでは、自分の名前で自分自身を呼ぶことが多く、「○○ちゃん、やる」などの表現が見られます。
しかし3歳になると、社会性の発達にともない、自分を他者と区別して認識する力が成長していきます。
その結果、周囲の大人や友達の使う言葉を真似ながら、「僕」や「私」といった一人称を学び、自分の立場や性別に応じて使い分けるようになります。
これは言語の面だけでなく、自己認識や社会性の発達など関係していると言えるでしょう。
できないときの対応
冒頭で述べた通り、この時期に一人称は必ず使えないといけないわけではありません。
しかしながら、一人称を聞く・言う経験を積んだり、保育園の活動や発表といった公的な場で「僕」「私」と言えると有意義ではあると思います。
まずは、大人が一人称を意識して使うことがポイントになるでしょう。
例えば、「ママは~するよ」ではなく、「私は~するよ」と話してみることは、子供にとって良い刺激になるかもしれません。
また、絵本の読み聞かせの中で登場人物が「僕」や「私」を使って話す場面を指さして伝えることも良いでしょう。
遊びの中でロールプレイを取り入れ、「お医者さんごっこ」「お店屋さんごっこ」などを通して、役になりきって話す機会を増やすことも有効です。
できたときに次にすること
一人称を使えることは、1つの対象に複数の言い方があることを学ぶきっかけにもなるでしょう。
「○○ちゃん」が「私」であるように、「ママ」は「お母さん」であり「○○(名前)」でもあります。
「おばあちゃん」は「ママのお母さん」でもあるでしょう。
このように、自分や他者を相対的に表現することを学んでいけるでしょう。
参考資料
『遠城寺式乳幼児分析的発達検査法について』(認知神経科学会)2023年3月18日閲覧

