吃音の手技・アプローチ

軟起声とは?|吃音の改善テクニック 声門閉鎖に着目して

公開日:2022年1月11日


 
 

軟起声とは?

 軟起声とは吃音に関する用語の1つです。
 軟起声とは喉の力を抜いて、柔らかく話すことを指します。

 吃音は現代医学において治療法は確立されていませんが、軟起声は吃音の軽減のための手法の1つです。

 
 
 

解説

吃音と喉頭の関係

 吃音によってどもりが生じている際、喉頭(声門)に力が入り過ぎていることがわかっています。

 例えば吃音の典型的な症状に「ブロック」があります。
 「お・・・はよう」などのように言葉が途中で止まってしまうような症状です。

 ブロックが生じた際は喉頭に力が入りすぎ、声門が閉じ、呼吸が苦しくなっていることが筋電図などの研究でわかります。

 
 

吃音と喉頭と脳神経

 このように、どもりの発生に関して喉頭の動きは興味深い知見と言えます。

 しかしながら、吃音の原因は喉頭に障害があるからではありません。
 例えば喉頭摘出を行った人で吃音になった人のケースもあります。

 吃音の喉頭や舌といった発声発語器官のみが原因となっているのではなく、脳神経が関係していることが推測できます。

 
 

吃音における軟起声

 軟起声とは喉の力を抜いて柔らかく話すことです。
 喉頭に力が入る吃音において柔らかく声を出すイメージは大切です。

 「力を抜いて話す」という心がけは吃音の知識が少しでもある人にとっては非常に当たり前でなんでもないアドバイスのように感じます。

 しかしながら吃音について知らずその実体がつかめず、不安を感じる人は少なくありません。
 そういう人にとっては「なぜどもるのか」「どう話していいか」という漠然としたイメージも浮かびにくいものです。

 そのため軟起声のイメージを支援者と当事者でまず共有することは大切です。

 
 

軟起声の有効性

 吃音は現代医学において治療法は確立されていないので、軟起声も吃音を軽減する万能の方法ではありません。
 あくまで当事者の負担を少なくするためのテクニックの1つです。

 なんでもそうですが、支援はテクニックだけでなくその人のメンタル面のサポートが重要です。
 治療法が確立されていない吃音については特にそのことが言えます。

 
 
 

補足記事

 
 
 

参考資料

『吃音症の遺伝学』(日本小児耳鼻咽喉科学会)2021年11月20日検索

-吃音の手技・アプローチ

テキストのコピーはできません。