中高生のADHDへのアプローチ
中高生へのアプローチ・支援はADHD固有の特性だけでなく、パーソナリティの発達の支援を視野に入れます。
この時期になると自身の症状を自覚し特性に合った行動を自ら取ろうとする子も見られ始めます。
解説
本人へのアプローチ
認知行動療法(CBT)などのアプローチを行っていきます。
思春期になるとADHDの特性(多動や衝動的行動)が反抗期と誤解されることもあります。
これにより周囲に理解されず、実際に反抗心が芽生えるという悪循環に陥る可能性があります。
多感な時期であるからこそ、ADHD固有の特性だけでなくパーソナリティの発達の支援に着目することが重要です。
家族支援
ADHDによる生きにくさから、しばしば受動攻撃性が高まるケースがあります。
受動攻撃性とは、直接的に攻撃を示さず、緘黙などで反抗することです。
つまり一種の反抗として不登校などを選択するケースです。
ペアレントトレーニングなどを通し、その時期特有のADHDの傾向を考えていきます。
他機関との連携
中高生は特に進路などの悩みも出てくる時期です。
日々の生活だけでなく、そういった将来のことも踏まえて本人の特性や傾向を情報交換していく必要があります。
また小学校の頃からと同様に、(ネグレクトなどを含む)虐待などが見られるケースでは児童相談所との連携も重要になります。
薬物療法
上記のような本人・家族へのアプローチ、環境設定、各機関の連携を行った上でも状況改善が難しい場合に薬物療法を慎重に検討します。
薬物療法はADHDの特性自体に働きかける薬だけでなく、必要に応じて精神疾患などの二次障害に対応する薬も視野に入れます。
また、中高生くらいになると子供自身が自分の特性にある程度自覚的となり、自分の特性の応じた行動も見られはじめます。
このため場合によっては薬物療法が終了になるケースもあります。
薬物の追加や継続だけでなく、終了も視野に入れていきます。
参考資料
『注意欠如・多動症 (ADHD) 特性の理解』(一般社団法人 日本心身医学会)2022年11月19日閲覧
『ADHD(注意欠如・多動症)の診断と治療』(厚生労働省「e-ヘルスネット)2022年11月19日閲覧