ADHD(注意欠如・多動症)

アトモキセチンとは?|ADHD(注意欠如・多動症)の薬物療法

公開日:2023年3月9日


 
 

アトモキセチンとは?

 アトモキセチン(atomoxetine)(ATX)とは、ADHDにおける薬の1つです。

 一般的に「ストラテラ」と言われるADHDの薬の成分になります。

 以下、アトモキセチンの作用や特徴について、日本心身医学会のADHDに関する論文を踏まえ挙げていきます。

 
 
 

解説

機序

 アトモキセチンは選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害薬です。
 ノルアドレナリントランスポーターの働きを阻害することで、前頭前野のノルアドレナリンとドパミン濃度を上昇させます。

 ADHDの薬である「メチルフェニデート」がドパミントランスポーターとノルアドレナリントランスポーターの両方に親和性を持つのに対し、アトモキセチンはドパミントランスポーターに親和性はほとんどなく、ノルアドレナリントランスポーターに親和性があります。

 
 

効果

 アトモキセチンを服用することで前頭前野のノルアドレナリンとドパミン濃度が上昇し、ADHDで機能不全と考えられる実行機能の働きを高めることが期待できます。

 「実行機能」とは目的を達成するために自分をコントロールできる力のことです。
 もう少し専門的に表現すると「目標志向的な、思考、行動、情動の制御」などとされています。

 いずれにせよ実行機能は人の様々な活動や生活に関連しています。

 
 

作用の特徴

 アトモキセチンは依存リスクが低いことが特徴の1つと言えます。

 ADHDの薬(の成分)は大きく2種類あり、1つは「メチルフェニデート」でもう1つがこの「アトモキセチン」です。

 メチルフェニデートはドパミントランスポーターにも親和性があるため、人の脳の報酬系に影響を与えます。
 このため依存リスクがあります。

 一方でドパミントランスポーターに親和性がほとんどないアトモキセチンは、側坐核のドパミン濃度には影響を与えません。
 このためアトモキセチンは依存リスクが低く、そういった背景もあり流通規制も行われていません。

 依存リスクが低いことは魅力ですが、アトモキセチンは報酬系に作用しないため、メチルフェニデートと同等の効果が得られるかと言えば難しいでしょう。

 
 

副作用

 
 
 

参考資料

『注意欠如・多動症 (ADHD) 特性の理解』(一般社団法人 日本心身医学会)2022年11月19日閲覧

『ADHD(注意欠如・多動症)の診断と治療』(厚生労働省「e-ヘルスネット)2022年11月19日閲覧

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