ADHDの男女比
ADHDの男女比は学童期の場合、
4~5:1で男児のほうが多い傾向にあります。
しかし成人の場合は1:1とおおむね男女比が同じ程度になっていきます。
これはADHDの症状である多動性や衝動性の様子が、学童期と成人では異なることが関係しています。
解説
ADHDの性差
日本心身医学会の論文によると、ADHDの男女比は冒頭で述べた通り4~5:1で男児のほうが多い傾向にあります。
ADHDの症状は主に「不注意」「多動性」「衝動性」などがあります。
そして多動性や衝動性は比較的男児に多く見られます。
そして男女に限らずADHDの症状である多動性や衝動性は、12歳以降から減弱していく傾向があります。
このため診断基準を満たさなくなる場合もあります。
先述の通り多動性や衝動性は比較的男児に見られるため、これらが減弱し診断基準を満たさなくなると、相対的に男児のADHDの割合が減少します。
このような背景から、成人になるとADHDの男女比は1:1とおおむね男女差がなくなる傾向にあるようです。
ただし全てのADHDの男児が多動性や衝動性が減弱するわけではないので解釈には注意が必要です。
ADHD評価スケールの所見
ADHDの症状を客観的に評価する方法の1つに、質問紙形式であるADHD評価スケール(ADHD-RS)があります。
ADHD評価スケールのデータによると、
教師から見たADHDの症状の男女比は
不注意優勢型が2:1
多動性-衝動性優勢型が3.2:1
混合型が2.6:1
親から見たADHDの症状の男女比は
不注意優勢型が1.4:1
多動性-衝動性優勢型が3.1:1
混合型が3.3:1
となっています。
やはり不注意優勢型と比べると、多動性-衝動性優勢型のほうが男女比の差が大きいようです。
参考資料
『注意欠如・多動症 (ADHD) 特性の理解』(一般社団法人 日本心身医学会)2022年11月19日閲覧
『ADHD(注意欠如・多動症)の診断と治療』(厚生労働省「e-ヘルスネット)2022年11月19日閲覧