ADHDは遺伝するのか?
ADHDは遺伝の影響を比較的受けると考えられます。
具体的には親がADHDの場合、その子供がADHDである可能性は、親がADHDでない場合と比べて約5倍高い考えられます。
ただし、ADHDの遺伝における特定の遺伝子の効果は小さいと考えられています。
これはつまりADHDは何か1つの遺伝子が原因で起こるのではなく、様々な遺伝子と環境が絡み合うことで発症するということです。
つまり、ADHDは遺伝の影響は大きいですが、環境の要因も混在しています。
解説
ADHDの遺伝率
日本心身医学会の論文によると、ADHDである人の第一度親族(親や子や兄弟)はそうでない場合と比べてADHDのリスクが5倍になるそうです。
また、双生児研究において発病一致率は一卵性で50~80%、二卵性で30~40%だそうです。
これらから、ADHDの遺伝率は76%と推定されています。
ちなみに、遺伝率76%を「76%の確率で子供がADHDになる」と解釈するとそれはニュアンスが異なります。
詳しくは後述しますが、遺伝率とは集団の中で生じるその子の差を遺伝で説明できる割合です。
ADHD発症のメカニズム
冒頭で述べた通り、ADHDの遺伝における特定の遺伝子の効果は小さいと考えられています。
ADHDの遺伝において、遺伝子は相互に作用し合い、また様々な環境の影響を受け、複雑に絡み合って発症します。
このためADHDに関わる何か1つの遺伝子があって、それがあったら子供はADHDになって、なかったらADHDにならない、という単純な話ではありません。
複数の遺伝子と環境の双方が関係してくると考えられます。
遺伝率とは?
参考資料
『注意欠如・多動症 (ADHD) 特性の理解』(一般社団法人 日本心身医学会)2022年11月19日閲覧
『ADHD(注意欠如・多動症)の診断と治療』(厚生労働省「e-ヘルスネット)2022年11月19日閲覧