ADHDの薬物療法の流れ
ADHDの薬物療法は一部例外を除いて基本的には6歳以上からが対象になります。
つまり幼児期に薬物療法を行うことは一般的ではありません。
また6歳以上であっても基本的には環境設定やソーシャルスキルトレーニングなど薬を使わないアプローチが先になります。
そういったアプローチを行ってもなお状況改善に難しさがある場合、薬物療法を慎重に検討します。
以下、日本心身医学会のADHDに関する論文を基に、ADHDの薬物療法の流れを挙げていきます。
解説
第1段階
ADHDの薬を単一で処方します。
主にはメチルフェニデート徐放錠(OROS‒MPH)かアトモキセチン(atomoxetine)(ATX)のいずれかになるでしょう。
医師の判断を基に使用量を調整していきます。
適用量の最大限まで投与しても状況が改善しない場合や、深刻な副作用が現れた場合は第2段階の選択肢をとります。
第2段階
第1段階で用いなかったほうの薬の使用を検討します。
こちらも第1段階と同様、使用量を慎重に調整していきます。
これでも改善が見られない場合、第3段階に移行します。
第3段階
薬物療法の中止をまず検討します。
つまり、薬を使わず日常生活を送ることがなんとか許容できないか再検討します。
また、13歳以上であれば抗精神病薬の単剤処方も視野に入れます。
(ただしADHDにおいて適応外使用となるため注意が必要です)
これらが難しい場合、第4段階を検討します。
第4段階
異なった種類の薬を併用する段階です。
具体的には以下のような組み合わせが考えられます。
- 2種類の抗ADHD薬の併用
- 1種類の抗ADHD薬と感情調整薬
- 1種類の抗ADHD薬と抗精神病薬
ただし抗精神病薬と感情調整薬はADHDにおいて適応外使用となるため注意が必要です。
参考資料
『注意欠如・多動症 (ADHD) 特性の理解』(一般社団法人 日本心身医学会)2022年11月19日閲覧
『ADHD(注意欠如・多動症)の診断と治療』(厚生労働省「e-ヘルスネット)2022年11月19日閲覧