ADHD(注意欠如・多動症)

メチルフェニデート徐放錠とは?|ADHD(注意欠如・多動症)の薬物療法

公開日:2023年3月1日


 
 

メチルフェニデート徐放錠とは?

 メチルフェニデート徐放錠(OROS‒MPH)とは、ADHD(注意欠如・多動症)の薬物療法に使用される薬の1つです。

 一般的に「コンサータ錠」と言われるADHD治療薬の成分は、このメチルフェニデートになります。

 以下、メチルフェニデートの作用や特徴について、日本心身医学会のADHDに関する論文を踏まえ挙げていきます。

 
 
 

解説

機序

 メチルフェニデートは、ドパミントランスポーターとノルアドレナリントランスポーターの働きを阻害します。
 これにより、側坐核におけるドパミン濃度と、前頭前野のノルアドレナリンとドパミン濃度を上昇させます。

 ドパミントランスポーターは側坐核に高密度に分布しており、ドパミンの再取り込みを司っています。
 そして側坐核は人の報酬系に関与します。

 ノルアドレナリントランスポーターは前頭前野に多く分布しています。

 
 

効果

 メチルフェニデートを服用すると、ADHDで機能不全と考えられている報酬系の作用と実行機能の働きを高めることができます。(もちろん効果には個人差があります)

 側坐核におけるドパミン濃度が上昇すると、報酬系の作用を高めることが期待できます。

 また前頭前野におけるノルアドレナリンとドパミン濃度の上昇は、実行機能の働きを高めることが期待できます。

 
 

作用の解説

 メチルフェニデートの効果は報酬系機能や実行機能を高めることであり、それ自体はADHDの治療という観点では対処療法にとどまります。

 しかしながら、報酬系機能の改善はこれまでよりも小さな報酬に対して動機づけられやすくなることを意味します。

 つまり、メチルフェニデートは療育や行動療法との相乗効果が期待できます。
 逆に言うと、薬だけに頼る姿勢ではメチルフェニデートの長所を十分に発揮できるとは言い難いでしょう。

 
 

副作用

 
 
 

参考資料

『メチルフェニデート』(e-ヘルスネット 厚生労働省)2022年12月10日閲覧

『注意欠如・多動症 (ADHD) 特性の理解』(一般社団法人 日本心身医学会)2022年11月19日閲覧

『ADHD(注意欠如・多動症)の診断と治療』(厚生労働省「e-ヘルスネット)2022年11月19日閲覧

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