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ADHD-RSのカットオフ
ADHD-RSのカットオフ値は年齢や性別、目的(ADHDを診断したいのか除外したいのか)などによって異なります。
ADHD-RSは実施と採点は比較的簡単ですが、このカットオフの解釈が煩雑です。
以下、ADHD-RSのカットオフについて触れていきます。
カットオフに影響を与える要因
性別と年齢
ADHD-RSはマニュアルに記載されている表にて、得点に対応するパーセンタイル値を求めます。
何点がどのくらいのパーセンタイル値に相当するかは、年齢や性別によって異なります。
診断が除外か
ADHDを診断したいのか除外したいのかでカットオフ値は異なります。
診断とは、「この点数なら診断に至るかも」という解釈です。
除外とは、「この点数ならADHDとは言えないだろう」という解釈です。
ちなみに診断にも除外にも当たらない場合はグレーゾーンと解釈できるでしょう。
親か教師か
ADHD-RSは、親が記入したか教師が記入したかでも解釈が異なります。
親と教師では子供と接するシチュエーションや着眼点が異なるためです。
端的に言うと、
ADHD-RSのカットオフ値は単独で決まらず、「親記入で何点以上」かつ「教師記入で何点以上」という総合的な判断となります。
不注意型か混合型か
ADHD-RSのカットオフ値は、不注意型(ADHD/I)と混合型(ADHD/COM)で異なります。
学校か臨床現場か
子供の様子や見る人の印象は環境によっても異なるでしょう。
ADHD-RSのカットオフ値は、学校現場での調査か臨床現場での調査かでも異なります。
カットオフ値の具体例
以上より、ADHD-RSのカットオフ値は、不注意型(ADHD/I)の診断と除外、混合型(ADHD/COM)の診断と除外という4パターン、それぞれ学校現場と臨床現場で解釈が異なるでの計8パターンがあります。
そしてこれらは、それぞれ「親記入で何点以上」かつ「教師記入で何点以上」という2者の記入が必要です。
例えば学校現場での調査を用いた混合型(ADHD/COM)の診断についてのカットオフは
- 教師記入の不注意項目の合計が90パーセンタイル値以上
- 親記入の不注意項目の合計が80パーセンタイル値以上
- 教師記入の多動性-衝動性の合計が80パーセンタイル値以上
- 親記入の多動性-衝動性の合計が85パーセンタイル値以上
となっています。
これに照らし合わせると、例えば7歳の男児の場合、
- 教師記入の不注意項目の合計が21点以上
- 親記入の不注意項目の合計が9点以上
- 教師記入の多動性-衝動性の合計が16点以上
- 親記入の多動性-衝動性の合計が13点以上
と考えられます。
まとめ
以上のように、
ADHD-RSのカットオフ値は年齢や性別、診断か除外か、不注意型(ADHD/I)か混合型(ADHD/COM)か、学校調査を用いるか臨床場面を用いるかで解釈が異なります。
そしてこれらは親記入と教師記入の両方を用います。
このようにカットオフ値の解釈が煩雑なのが、良くも悪くもADHD-RSの特徴と言えます。
ADHD-RSの全体の解説