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ADHD-RSによる治療効果の見方
ADHDの客観的な評価方法の1つであるADHD-RS(ADHD評価スケール)。
ADHDの診断や除外の参考に役立つ質問紙ですが、
ADHD-RSは信頼性変動指数(Reliable Change Index=RCI)による分析も評価の1つであり、内服や各種アプローチによる効果測定にも役立つと考えられます。
解説
ADHDの評価
全員ではありませんが、ADHDの症状により生活に困難さがある場合、内服にて経過を見る場合があります。
この際、薬が効いているかどうかを「日頃の様子」だけで判断するのはなかなか難しいものです。
親や周囲も「薬を飲んでいるから」という思い込み(バイアス)で、効果があったように見えてしまう場合もあります。
信頼性変動指数(RCI)とは?
こういったADHDの評価の難しさを助けてくれるのが、RCI(信頼性変動指数)です。
「Reliable Change Index」の頭文字を取ったRCI(信頼性変動指数)とは、症状の臨床的に有意な変化を説明しようとする概念です。
先程の例で言うと、その子の行動面の変化が内服によるものなのかどうかを客観的に評価する際に役立ちます。
RCIは標準誤差を用いることで算出でき、その式は以下のようになります。
RCI=介入前後のスコアの変化-標準誤差
RCI(信頼性変動指数)は1.96より大きければ、治療効果がありと考えることができます。
ADHD-RSにおけるRCIの活用
ADHD-RSを内服などの介入前と後に実施することで、そのスコアを用いてRCIによる評価が可能です。
まずは介入前のADHD-RSのスコアと介入後のADHD-RSのスコア差を算出します。
それらを標準誤差で割り、値が1.96より大きいかどうかを確認します。
標準誤差は性別や年齢、各スコア(不注意、多動性-衝動性、合計)で異なりますので、それぞれ適切な標準誤差を用います。
このようにして、療育や内服の客観的な評価を行っていきます。
ADHD-RSの全体の解説