心の理論と加齢の関係
諸説ありますが、心の理論に関する能力は加齢と共に衰える傾向があると考える見方が比較的多いです。
心の理論とは簡単に言うと他者の心情を推論する能力ですが、若者と比べると高齢者の場合はこの心の理論に関する認知が低下している可能性が示唆されています。
解説
心の理論とは?
心の理論とは、相手の立場になって考えることができる能力のことです。
これをもう少し専門的に言うと誤信念の理解を意味します。
誤信念の理解とは相手の誤った信念を理解する力、つまり人は正しいときもあれば間違うときもあるということを理解できる力のことです。
例えばある人がひどく落ち込んでそっけない態度を取ったとき、多くの人は「大変なことがあったんだから仕方がない」とその人の一時的なそっけなさを許してあげることができます。
こういったコミュニケーションができるのは、他者の誤信念の理解する能力があるからです。
心の理論と実行機能
実行機能とは、その人がその目標を達成するための、思考や行動を制御する認知システムを指します。
心の理論と実行機能は関連しているとする考え方が比較的多く見られます。
このため加齢による心の理論の力の低下やコミュニケーション能力の低下は、実行機能などの認知機能の低下が関係しているのではとする説があります。
補足記事
参考資料
『心の理論の生涯発達における実行機能の役割』(心理学評論刊行会)2021年11月6日検索
『幼児版ストループ課題の作成』(公益社団法人 日本心理学会)2021年11月6日検索
『幼児における「心の理論」と実行機能の関連性 : ワーキングメモリと葛藤抑制を中心に』(一般社団法人 日本発達心理学会)2021年11月6日検索
『実行機能の初期発達,脳内機構およびその支援』(心理学評論刊行会)2021年11月6日検索
『幼児における「心の理解」の指標としての嘘をつく行為と葛藤抑制能力との関連』(公益社団法人 日本心理学会)2021年11月8日検索