吃音における予期不安
吃音の支援において「予期不安」に着目することは、現実的な介入方法の1つです。
予期不安とは文字通り予想して不安になることであり、話す前に「どもってしまうかも」と不安になりストレスが生じてしまうことです。
解説
吃音の負担
吃音による負担は大きくは身体的な負担と精神的な負担があります。
身体的な負担とは、例えば「おっ・・・はよう」のように言葉が止まる(ブロック)吃症状で呼吸が止まり苦しくなるような状況です。
精神的な負担とは、吃音によって周囲からからかわれる、自信が持てない、予期不安によって話すのが怖いなど精神的なストレスを指します。
吃音は治せない
現代医学において吃音の治療方法は確立されていません。
吃音は現代医学では治せないので、持続的なものとはうまく付き合っていくしかありません。
こういった吃音の現状を踏まえると、吃音の支援では見かけの症状だけでなく本人の精神面を配慮することが重要です。
予期不安の発生
吃音のある人は、多かれ少なかれ周囲にからかわれたりネガティブな経験をすることがあります。
こうして「どもらないようにしなきゃ」という一種の強迫観念と、「どもってしまった」という落胆を経験しがちです。
こういった経験から「どもったらどうしよう」という予期不安が形成されていきます。
人によっては予期不安による精神的負担が、吃音の症状自体による身体的負担以上に辛いことがあります。
予期不安への対応
予期不安を軽減することは、当事者が吃音とうまく付き合いながら生きていく上で大切なことの1つです。
吃音者によっては、「どもったらどうしよう」という事前のネガティブな予想はあっても、「どもったときはこうしよう」という前向きな対処に目が向いていない場合があります。
- どもったときはどこに力が入ってしまうのか
- どんなふうにどもるか
- 「なんでどもるの?」と聞かれたらなんと答えるか
- 吃音をからかってくる人がいたらどう対応するか
こういった具体的なことに、本人なりの答えを1つ1つ見つけていくことが予期不安の軽減につながります。
一見すると当たり前のことのようですが、吃音にて悩み俯瞰して物事を見れなくなると、こういった視点に立つことが難しくなります。
だからこそ第三者の支援が大切であると言えます。
補足記事
参考資料
『吃音症の遺伝学』(日本小児耳鼻咽喉科学会)2021年11月20日検索