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暗算ができないとどうなるか?
暗算が十分に習得できていない場合、その先にある数学的思考の学習や実際の問題解決に至らない可能性があります。
暗算の対象となる小さな数の計算は、あくまで「より複雑な計算」や「これらを使って目の前の問題を数学的思考で解決すること」の手段でしかありません。
手段につまずいてしまうとその先の目標にまで手が届かない可能性があります。
解説
暗算とは?
一般的には暗算は(書いたり道具を使わずに)頭の中で計算することを指すかと思います。
小学生への学習指導においてより具体的に暗算を定義すると、
暗算とは足し算・引き算については答えが20まで、掛け算・割り算については九九の範囲と考えられています。
そして暗算をスムーズにできることは、「暗算の自動化が達成されている」ということを指します。
暗算の自動化
自動化とは、「式を見るだけで瞬時に答えを想起できるレベル」に達することです。
暗算の自動化はそれより大きな数を扱う計算、文章を含む問題、より複雑な数学的概念を理解する上で大切です。
まさに暗算は算数の基礎と言えるわけですが、この暗算の習得が不十分な場合どのような課題が生じるのでしょうか。
以下で具体的に見ていきます。
暗算ができなことの弊害
数学的概念が理解しにくい
基本的な数学的概念を理解しにくく、問題解決を強調するようなカリキュラムに参加することが難しい可能性があります。
つまり手段である計算に滞るため、その先にある数学的に考え答えを導き出す本質の学習ができない可能性があります。
高度な計算スキルにおける支障
高度な計算スキルにおいて指導効果が限定的なものになってしまう可能性があります。
工夫した計算、複雑な計算の解き方を指導しても、基礎的な計算につまずくため指導を十分に活かせない場合があります。
暗算が長期間維持されず応用が難しい
暗算が長期間維持されない。さらに、他の計算や文章問題などに応用することが難しい可能性があります。
補指導方法の例
参考資料
『九九学習で誤答率の高い九九の要因と特異数』(一般社団法人 日本LD学会)2021年12月16日閲覧
『算数障害を有する児童に対する九九の自動化のための学習支援』(上越教育大学)2021年12月16日閲覧
『通常の学級に在籍する児童への特別支援学校のセンター的機能を通したわり算指導に関する一考察』(一般社団法人 日本LD学会)2021年12月16日閲覧