アプガースコアとは?
アプガースコアとは新生児の健康状態を知るための判定方法です。
麻酔科医のヴァージニア・アプガー氏が考案したのでこの名前です。
アプガー指数、アプガーテストなどと呼ばれることもあります。
アプガースコアの採点方法
アプガースコアは5個の項目を0・1・2点の3段階でそれぞれ採点し、その合計で生まれたばかりの赤ちゃん健康状態を知る目安とします。
皮膚の色(Appearance)
0点:全身チアノーゼまたは蒼白
1点:体幹は淡紅色、四肢はチアノーゼ
2点:全身淡紅色
心拍数(Pulse)
0点:なし
1点:100未満
2点:100以上
反射(Grimace)
0点:なし
1点:顔をしかめる
2点:泣く、咳嗽、嘔吐反射
筋緊張(Activity)
0点:ぐんなり
1点:四肢をいくらか曲げる
2点:自発運動、四肢を充分曲げている
呼吸努力(Respiration)
0点:なし
1点:泣き声が弱い、呼吸が不規則で不十分
2点:良い、強い泣き声
あえて「アプガー」の頭文字で並べましたが、実際は
優先度が高い順に心拍数・呼吸努力・筋緊張・反射・皮膚の色に並べます。
8点以上が正常、4~7点が軽度仮死、3点以下が重度仮死と判断します。
アプガースコアの意義
アプガースコアの意義や長所はその簡便さです。
つまり、
誰もが見てわかりやすい簡潔な基準なのに、熟練の専門家が下すような判断がけっこうできるというのがアプガースコアの良い点。
アプガースコアがない以前は、医師をはじめ出産に立ち会うスタッフの誰もが主観によって赤ちゃんの健康状態を判断していました。
当然ながら個人の主観では大切な兆候を見落とすこともありますし、人によって意見が分かれてしまいます。
アプガースコアは、「生まれたばかりの赤ちゃんがどういった状態だと早急に対応が必要か」という命にとって重要な判断を客観的に行う道しるべとなります。
認知心理学者のダニエル・カーネマンも述べていますが、
要点をつかんだ簡潔な法則は、複雑な計算式や専門家の個人的な判断よりも優れていることがあります。
アプガースコアはその代表例と言えるでしょう。
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参考資料
冨田豊『標準理学療法・作業療法学 専門基礎分野 小児科学』医学書院、2007年
ダニエル・カーネマン『ファスト&スロー』早川書房、2014年