自閉症スペクトラム障害児と偏食
程度の差はありますが、自閉症スペクトラム障害(ASD)児の半数以上は食事に対する偏りが見られると考えられています。
これらは年齢と共に自然と変化する余地も大きいです。
しかし保護者や周囲の支援者にとって、「だから何も対応をしないでただ見ているだけ」と割り切れるかと言えば難しい面もあるでしょう。
自閉症スペクトラム障害児の偏食は「感覚の偏り」や「こだわり」を背景にしている面があります。
これらによりその食べ物が嫌いな理由は食感や見た目など様々です。
そのため対応方法としては「口腔面」「認知面」「環境面」など総合的に配慮してあげる必要があるでしょう。
大阪府立大学の調査を基に、保護者が行った自閉症スペクトラム障害児への食育のうち、偏食に効果があったとされる対応を挙げていきます。
自閉症スペクトラム障害児の偏食の対応方法の例
口腔面
- 柔らかくする
- 一口サイズに統一する
- 食感を変える
- 味付けを変える
- 料理を1つずつ食べる
- 味が混ざらないようにする
- スープにしてにおいを減らす
- 煮込んで味を染み込ませる
- 温めてすぐ食べる
- 擦るなど食物繊維をなくす
- 水分と固形物を分ける
- 好きな音を活用する
認知面
- 「終わり」や「次」を明確にする
- スプーンに少量取って呈示
- 量が見える食器を使う
- 食べる量は少しずつ増やす
- 一緒に料理をして経過を示す
- 好きな物に入れる、少量だけ入れるなどして気づかせないようにする
環境面
- 本人が好きな人が介助する
- 褒める
- 強制的な雰囲気を出さない
- 楽しい雰囲気を作る
- 同じ食器を使う
- 同じ場所で食べる
- 同じメーカーにする
- 好きな外食を活用する
- いろいろな場所で食べることも経験する
- 本人のパニックに周囲が焦らない
- 家族が楽しく食べている様子を見せる
参考資料
『幼児期における嫌いな食品の変化と偏食との関連』(西九州大学)2021年9月11日検索
『”You will eat all of that!”: a retrospective analysis of forced consumption episodes』(アメリカ国立衛生研究所)2021年9月20日検索
『Increasing fruit and vegetable consumption among preschoolers: evaluation of color me healthy』(アメリカ国立衛生研究所)2021年9月20日検索
『Repeated exposure in a natural setting: a preschool intervention to increase vegetable consumption』(アメリカ国立衛生研究所)2021年9月20日検索
『自閉スペクトラム症児の偏食に対する食物同時提示法の適用』(NPO法人 日本自閉症スペクトラム支援協会 日本自閉症スペクトラム学会)2021年9月11日検索
『自閉症スペクトラム障害児の食事に関する問題の検討』(一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会)2021年9月11日検索
『自閉症児の食嗜好の実態と偏食への対応に関する調査研究』(公益財団法人 浦上食品 ・ 食文化振興財団)2021年9月11日検索
『自閉症スペクトラム児の幼児期における摂食・嚥下の問題』(日本摂食嚥下リハビリテーション学会)2021年9月23日検索