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自閉症スペクトラム障害(ASD)の社会性・コミュニケーションの障害
自閉症スペクトラム障害(ASD)における社会性やコミュニケーションの障害は具体的には
- 他者の感情への鈍感さ
- 他者の知識を考慮する能力の欠如
- 意図を読む能力の欠如
- 話題に対する聞き手の興味を判断する能力の欠如
- 他者の行為の意図を予測する能力の欠如
- 欺くことや欺きを理解する能力の欠如
- 人の行為の背後の動機を理解する能力の欠如
などがあると考えられます。
前段
自閉症スペクトラム障害(ASD)の中核的な症状として、社会性やコミュニケーションの障害が挙げられます。
この「社会性」や「コミュニケーション」における障害は非常に多岐にわたり具体的な内容を特定することは難しいものです。
しかしながら例として、発達心理学者であるサイモン・バロン=コーエンらは冒頭のような内容を挙げています。
以下、それぞれを見ていきます。
各項目の解説
他者の感情への鈍感さ
良好な人間関係のためには他者の感情を読み取り自分の行動を微調整することが大切です。
例えば相手が怒っているなら、その話題はもう触れないほうが良い場面というものがあります。
他者の知識を考慮する能力の欠如
何かに関して詳しい人には要点だけを、詳しくない人には丁寧に説明する必要があります。
自分の知識量ではなく相手の知識量・理解度を察することは大切です。
意図を読む能力の欠如
世の中は言外の意味が溢れています。
例えばお店のトイレに「いつもきれいに使っていただきありがとうございます」という張り紙があったら、それは「トイレを汚さないでください」という意味でもあります。それを角が立たないよう、批判的にならないにん「いつもきれいに・・・」という表現を使っているのです。
話題に対する聞き手の興味を判断する能力の欠如
相手の興味の応じて話題を微調整することは会話において大切です。
例えば自分が好きな映画の話をしていて相手が退屈そう(相槌が単調になる、ぼーっとしている)ならば、相手の好きな映画を聞いて話題を変えるなどの工夫が必要でしょう。あるいは映画という話題自体を変えたほうがいいのかもしれません。
他者の行為の意図を予測する能力の欠如
その行動の理由や裏の意味を読み取ります。
例えば相手が「この部屋寒いね」と言うと、それはエアコンの温度を上げてほしいのかもしれません。
欺くことや欺きを理解する能力の欠如
「社交辞令」という言葉があります。
円滑な人間関係には、時として嘘を言い、それが嘘だと互いが認識することも必要です。
例えばLINEのやりとりで「また今度食事でも」というのは会話を終えるための1つの社交辞令です。
人の行為の背後の動機を理解する能力の欠如
なぜその人がそういう行動をとったかを読み取る力になります。
例えば会話で相槌が早く、そわそわしていたら、相手はこのあと用事があり急いでいるのかもしれません。
参考資料
『発達障害における基礎研究と臨床への適用 自閉症スペクトラム障害と心の理論の視点から』( 一般社団法人 日本発達心理学会)2021年2月23日検索