対人関係への自信のなさ
自閉症スペクトラム障害(ASD)の人は、対人関係について自信を持てない傾向がうかがえます。
もちろん価値観は人それぞれなのであくまで傾向の話ですが、
自閉症スペクトラム障害の人は定型発達の人と比べると人間関係をうまく築けている確信を持てなかったり、うまく振舞えていない自分を悟り孤独感を募らせるケースが多いようです。
解説
発達障害と自己理解の研究
日本発達心理学会の論文に、自閉症スペクトラム障害者の自己理解について調査・研究したものがあります。
定型発達の人と発達障害者を対象に、自己理解について答えてもらいその回答傾向を分析したものです。
「自分はどういう人間なのか」自覚できることは、アイデンティティを確立する上で重要な要素の1つでしょう。
そして自閉症スペクトラム障害者の場合、定型発達と比べて自己理解に特徴的な要素があると考えられています。
この研究によると、自閉症スペクトラム障害の人も対人関係に無関心というわけではなく、価値を見出していることがわかります。
具体的には、「他者の役に立っていること」や「他者と親密であること」などを、定型発達と同様に自己理解における要素としてとらえています。
自分を悟るゆえの孤独感
しかしながら、自閉症スペクトラム障害の人は人間関係において「うまくできていない」という自己評価が目立ちます。
「友達が欲しい」「仲間に認められたい」と願うも実際にうまく振舞えない自分を悟り孤独感を感じるケースがあるようです。
他者とのつながりに対する憧れや理想、それに相反する自己への不満がうかがえます。
発達障害と自己理解
参考資料
滝吉美知香、田中真理(2011)『思春期・青年期の広汎性発達障害者における自己理解』(一般社団法人 日本発達心理学会)2024年9月14日閲覧