精神障害の診断と統計マニュアル第5版(DSM-5)において登場した自閉症スペクトラムという用語。
アスペルガー症候群や高機能自閉症など個々の診断名がついていましたが、DSM-5より「自閉症スペクトラム」という名称に統一されます。
【概要】
自閉症スペクトラム障害(ASD)は先天的な脳の障害です。
親の育て方など後天的な要因で発症するものではないとされています。
人口の約1%が該当すると考えられています。
脳機能の障害と考えられていますが、発症の原因は解明されていません。
先天的な障害ではあるものの、出生前の検査やMRIなどでの検査で診断できるものではありません。
多くは行動面からの観察所見での診断になります。
【症状】
以下の2つが主な症状となります。
・対人コミュニケーションの障害
・行動や興味が限局され反復的
【分類】
DSM-5では個々の診断名は削除され「自閉症スペクトラム」としてまとめられています。
しかしながら症状を理解する上では分類を知ることも役に立つでしょう。
アスペルガー症候群
上記の症状により社会生活に困難さを感じます。
知的機能に遅れはありません。
3歳までに言語・知的・運動など発達に明らかな遅れが見られないことがポイントです。
高機能自閉症
知的機能に遅れはありませんが、言語発達の遅れが見られます。
カナー型自閉症(低機能自閉症)
知的障害を伴う自閉症です。
小児期崩壊性障害
2~5歳前後で発達の退行がはじまり、それが6か月ほど続きます。
以後は自閉症と類似した症状を示します。
特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)
その他です。
自閉症は概ね3歳以前に発症します。3歳以後にASD的症状がみられアスペルガーとも言い難い症状のときにPDD-NOSとなります。
アスペルガーほどASDの症状が該当しないので、臨床イメージとしては軽度です。