ADHD(注意欠如・多動症)

アトモキセチンの副作用(ストラテラ)|ADHD(注意欠如・多動症)の薬物療法

公開日:2023年3月10日

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アトモキセチンの副作用

 アトモキセチンとは、一般的に「ストラテラ」と呼ばれるADHDの治療薬の成分です。

 以下、アトモキセチンの副作用について、日本心身医学会のADHDに関する論文を踏まえ挙げていきます。

 
 
 

解説

副作用

  • 消化器系症状(食欲減退、悪心、嘔吐など)
  • 傾眠
  • 頭痛
  • 心拍数の増加、血圧上昇

 当然個人差はありますが、副作用としては上記のようなものが考えられます。

 このうち消化器系症状に関しては、低用量から緩徐に増量することと、食後に服用のタイミングを分割することで回避できる場合が多いです。

 眠気が強い場合は減量を検討します。

 心拍数の増加と血圧上昇に関しては、上昇しても正常範囲にとどまることが多く、臨床的に重大な問題になることは少ないです。
 ただし薬の使用で心拍数や血圧に変化があったかは把握しておくに越したことはないので、投与前後は心拍数や血圧を把握しておくことが有意義でしょう。

 
 

行動面

 アトモキセチンはプラセボ投与群との比較すると、投与初期において自殺念慮のリスクが高まると考えられています。
 ただし臨床試験において自殺既遂は認められていません。

 その他、服用後の攻撃的行動や敵意の発現率は低いですが、プラセボ投与群との比較ではやや高いという報告があるようです。

 
 

長期的副作用で懸念されるもの

 子供がアトモキセチンを服用することでの成長抑制は、一過性であり長期的な影響はないと考えられています。

 ただし食欲低下など二次的な要因で成長に影響を及ぼすことは考えられるので、先述のような服用の工夫大切でしょう。

 また、その子の成長状況や体重の推移などを把握しておくことも重要です。

 
 

依存リスク

 アトモキセチンは依存リスクが低く、そのため流通規制なども特に行われていません。

 この点は同じADHDの治療薬であるメチルフェニデートと異なる点と言えます。

 
 

禁忌

 アトモキセチンは重篤な心血管系障害のある患者や褐色細胞腫の患者への投与は禁忌とされています。

 
 
 

参考資料

『注意欠如・多動症 (ADHD) 特性の理解』(一般社団法人 日本心身医学会)2022年11月19日閲覧

『ADHD(注意欠如・多動症)の診断と治療』(厚生労働省「e-ヘルスネット)2022年11月19日閲覧

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