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誤った写真課題とは?
誤った写真課題とは、心の理論の検証に関する課題の1つです。
心の理論に関する誤信念課題の1つである「サリーとアン課題」と比較されることが多いです。
解説
誤った写真課題の内容
誤った写真課題は、以下のような内容です。
部屋には赤色の台と緑色の台があります。
サリーが部屋へやって来て、玩具を赤色の台の上に置いてカメラで部屋の
写真を撮り、カメラを置いて部屋から出て行きました。
その後、アンが部屋にやって来て、玩具を緑色の台の上に移動させました。
写真には玩具はどこに写っていますか?
上記を人形劇などで視覚的に伝えていきます。
答えは「赤色の台の上」になります。
サリーとアン課題の内容
誤った写真課題とサリーとアン課題との違い
誤った写真課題もサリーとアン課題も、「サリーが知らないうちにアンが物を動かした」という話のオチは同じです。
そしてこういった目には見えない状況を想像する「表象」の力が必要な問題です。
しかしながら、誤った写真課題が「カメラの中」を想像する必要があることに対し、サリーとアン課題は人の「心の中」を想像する必要があります。
自閉症スペクトラム障害児における誤った写真課題とサリーとアン課題
サリーとアン課題は定型発達児においておよそ4歳頃から正答できるようになっていきます。
一方で自閉症スペクトラム障害児は4~5歳頃になってもサリーとアン課題に正答できないケースが比較的多く見られます。
しかしながら、サリーとアン課題に正答できない自閉症スペクトラム障害児であっても、誤った写真課題は正答できるケースがあります。
このように、自閉症スペクトラム障害児は表象の力それ自体に困難さがあるわけではなく、心の中の表象に苦手さを持っていることが示唆されます。
補足記事
参考資料
『心の理論の生涯発達における実行機能の役割』(心理学評論刊行会)2021年11月6日検索
『幼児版ストループ課題の作成』(公益社団法人 日本心理学会)2021年11月6日検索
『幼児における「心の理論」と実行機能の関連性 : ワーキングメモリと葛藤抑制を中心に』(一般社団法人 日本発達心理学会)2021年11月6日検索
『実行機能の初期発達,脳内機構およびその支援』(心理学評論刊行会)2021年11月6日検索