飲食店の回転率を上げる紅花の戦略
飲食店「紅花」は、鉄板での調理パフォーマンスによりカウンター席の稼働率を上げています。
飲食店の利益にとって座席の回転率は重要で、紅花のスタイルは興味深いモデルの1つでしょう。
また、利益や損失を「ならす(平均化)」工夫は、様々な物事の教訓と言えます。
解説
行動経済学から見た紅花
行動経済学者のセンディム・ムッライナタン氏は、飲食店「紅花」の合理性を行動経済学と結び付けて説いています。
「紅花」は飲食店を展開する企業で、海外にある鉄板焼きチェーン店のパフォーマンスが有名です。
カウンター席の目の前の鉄板で食材を巧みに焼き、客は料理だけでなくその手際を見ること自体も楽しむことができます。
鉄板での調理を間近で見ることができる付加価値は、客に相席の抵抗感を軽減させているとムッライナタン氏は分析します。
飲食店において座席の回転率は重要です。
営業時間に内に空席があればあるほど、利益は減ってしまいます。
毎月の店舗の家賃を払い固定された面積で商売をしている以上、座席はできるだけ埋まっていたほうが飲食店は利益が上がります。
その上で、相席が客にどれだけ許容されるかは重要です。
相席が可能であれば店舗内の座席を無駄なく使えます。
紅花は鉄板での調理パフォーマンスを見るためカウンター席に座ることは抵抗がなく、加えて相席であっても違和感がありません。
また、鉄板でリアルタイムで調理が行われるため、座席の滞在時間を従業員側がある程度コントロールできます。
これにより滞在時間が長くならず、座席の回転率も上がります。
リソースの平均化
紅花のスタイルは、座席がどの時間もバランスよく埋まっているという平均化に貢献しています。
限られた資源(お金や時間)を平均化する工夫は、飲食店の経営に限らず日常の様々な物事に役立ちます。
例えばボーナスはもらってすぐ使ってしまえば散財になりますが、計画的に貯めて必要なときに使えば日常の困り事に対応できます。
物事をいかにして平均化できるかを考えることは、同じ資源でも効率的に結果を出せるヒントにつながるでしょう。
参考資料
センディル・ ムッライナタン、エルダー・ シャフィール『いつも「時間がない」あなたに 欠乏の行動経済学』早川書房、2015年 p256