母音(あ・い・う・え・お)は日本語の基礎となる音です。
上手な発音のためには上手な母音の発音は欠かせません。
今日は母音の発音の仕方を見ていきましょう。
【人が声を出すということ】
人は肺から空気を出します。口から風がでるわけです。
ビルの隙間を抜ける風。
風が吹いて落ち葉をカサカサとならす。
空気は物に触れて風の流れが妨げられることで様々な音を出します。
肺から外に出てくる空気の流れを口腔の器官が妨げることで声が出ます。
補足記事:発声発語器官の名称 ~人はどうやって声を出すのか?~
【音に合わせて形を作る】
口の開け具合や舌の上げ下げ。
口腔の器官を使い口の中の状態を変えることで、空気の流れを変えます。
「あ」を発音するには、「あ」という音が出るような空気の流れを口で作ります。
「い」「う」「え」「お」も同様です。
子音も同様です。
例えば「ぱ」はローマ字で書くと「pa」です。
「ぱ」の音を出すとは、「p」の音の形と「a(あ)」の音の形をほぼ同時に作ることなのです。
つまり子音の発音には母音の発音が不可欠です。
母音の発音が重要と書いたのはこれらの理由からです。
【母音を出すための口の形】
ではそれぞれの母音を出すための口の形を見ていきましょう。
上の図は人の顔を横から見たものです。
歯医者さんなどで見かけた方もいるかもしれませんね。
軟口蓋など聞きなれない名称もあるかと思います。
このあたりの器官については以前の記事をご参照ください。
喉のほうに「声帯」と呼ばれる器官があります。
声帯は空気の流れによって振動し、音を作ってくれる重要な器官です。
日本語の音には声帯が振動することで出せる音と、振動しなくても出せる音があります。
母音は声帯が振動することで出る音です。
声帯が振動することで出る音を有声音と言います。
【「あ」の発音の仕方】
肺から出た空気は気道を通って声帯を振動させた後、口の中へと向かいます。
口を開けて、空間を作り、空気の流れを妨げないことで「あ」の音は出ます。
【「い」の発音の仕方】
「い」の場合、まず舌の位置が異なります。
舌の先端が前方に上がり空気の通り道が狭くなります。
さらに唇を横長にして空気の出口の形も変えます。
【「う」の発音の仕方】
反対に「う」は舌の後ろの方が上がって空気の通り道を狭くします。
唇はとがらせるようにして、空気の出口を細くします。
【「え」の発音の仕方】
「え」の口の形は中間的な形になります。
舌は前に上がり、唇は横に引きますが、いずれも「い」ほどではありません。
【「お」の発音の仕方】
「お」も中間的な音です。
舌は後ろに上がりますが、「う」ほどではありません。
唇も「う」ほどとがりませんが、丸くはなります。
【まとめ】
以上のように、母音の発音に重要なのは舌の上がる位置と唇の形です。
また母音に共通する点は声帯が振動する点です。
さらに、母音は軟口蓋が上がっており鼻から空気が抜けないようになっているのもポイントです。
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