音韻意識

母音同定課題とは? 音韻意識の評価|子供の言葉の発達

公開日:2024年3月17日


 
 

母音同定課題とは?

 「母音同定課題(ぼいんどうていかだい)」とは、提示された平仮名に含まれる母音成分を答える課題です。

 例えば「か」という文字であれば「あ」、「す」という文字であれば「う」を答えてもらいます。

 母音同定課題は音韻操作能力を見る課題の1つと言えますが、モーラ単位での音韻分解・抽出課題などと比べると難易度が高い課題と言えます。

 母音同定課題は、モーラ分解・抽出よりも発展した音韻意識や、それに関連した文章読解能力を評価するための課題の1つと言えます。

 
 
 

解説

母音同定課題の内容・方法

 母音同定課題は視覚呈示された平仮名1文字を黙読し、それに含まれる母音成分を答えもらいます。

 冒頭で述べたように、要するに「か」という文字であれば「あ」、「す」という文字であれば「う」を答えてもらいます。

 評価の例としては10文字提示し6文字以上正答できるかは、課題通過の1つの目安と言えるでしょう。

 
 

母音同定課題の対象児

 母音同定課題は文字を視覚的に提示するため、文字が読める子でなければ実施ができません。

 このため文字が読めるかどうかの評価を事前に行っておく必要があります。

 また、母音同定課題はモーラ分解・抽出課題よりも発展した課題です。
 より高度な音韻意識は、文章の音読や読解能力にも関わる力と考えられます。

 読字数が21字以上になると、単語の読みが可能になり文の読みが始まるという研究報告もあります。

 以上より、母音同定課題は文章の読解能力も視野にある、音韻意識としては発展的な課題です。
 目安としては読字数が21字以上、ある程度単語の読みや文章の読みが始まっている子を対象に評価することが有意義でしょう。

 
 

母音同定課題の結果傾向

 母音同定課題は個々の文字の区切り、つまりモーラ単位の分解よりも、さらに小さい音素単位を認識できるかを見る課題です。

 母音同定課題は就学後の時期に急速に発達する傾向にあります。

 またこのような音韻の操作能力と文章の読みの発達が関連することが示唆されています。

 
 
 

参考資料

『仮名読みの獲得過程に対する音韻操作能力の関与』(日本音声言語医学会)2024年1月26日閲覧

『健常児における音韻意識の発達』(日本コミュニケーション障害学会)2024年1月27日閲覧

『幼児における音声産出能力の発達と音韻意識の関係』(日本コミュニケーション障害学会)2024年1月20日検索

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