クレーン現象は定型発達でも見られるのか?
クレーン現象は定型発達においても見られることが少なからずあります。
発達障害児の特徴的な症状として挙がりやすいクレーン現象ですが、行為自体は発達障害児「のみ」に起こる現象ではありません。
健常児でもクレーン現象は一過性に見られる場合があります。
解説
クレーン現象とは?
「クレーン現象」とは、他者の手を道具のように使って自分の要求を達成する行為です。
クレーン現象は「意図的な操作行動」の一種と考えれています。
他者に対する意図的な操作行動とは、例えば何かを取ってほしいとき、ひたすら対象物だけ見ながら相手の手を引っ張り続けるような行為です。
これに対し、相手とちゃんとアイコンタクトをして軽く相手の手を引っ張り、相手に意図が伝わったら(また取ってもらっていなくても)手を離すような行為は「意図的な伝達行動」と言われます。
クレーン現象は他者との意思疎通・やりとりの部分が不十分であり人を道具のように用いる傾向があります。
クレー現象が出現する時期
クレーン現象は定型発達においても8~12か月頃、あるいは1~2歳頃に一過性に見られます。
先ほど述べた通りクレーン現象は意図的な操作行動の側面があり、少なくとも「意図的に」何かを「操作する」認知機能が必要とされます。
クレーン現象は発達過程において出現しないといけない行為ではありませんが、少なくとも0歳10か月相当の認知能力が必要な行為とも言えます。
クレーン現象の消失時期
個人差はありますがクレーン現象は2歳頃から急速に減少し始め、3歳頃にはほとんど見られなくなります。
これは象徴的な伝達手段が充分に発達することが背景となっています。
具体的には、指差しの完成や文章での発話を獲得することが、クレーン現象の消失に関連すると考えられています。
参考資料
『発達障害児の「クレーン行動」に関する一考察 : 文献の展望と行動の観察例から』(一般社団法人 日本特殊教育学会)2021年9月15日検索