絵本「だるまさんが」を発達心理学の側面からレビューします。
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「だるまさんが」は何歳向け?
人気絵本の1つである「だるまさんが」。
「だるまさんが」って何歳向けの絵本なのでしょう?
絵本は楽しんで読めれば何歳でだっていいものですが、強いて挙げれば、
「だるまさんが」は4~5歳頃がより成長の刺激になる絵本です。
以下、これらの根拠を。
「だるまさんが」とは?(あらすじ)
「だ・る・ま・さ・ん・が」と見開き全部を使ってだるまさんが動きつつ、次のページで「どてっ」や「ぷっ」などユーモアある反応をします。
物語のある絵本というよりは、「だるまさん」の動きやリアクションを楽しむ類いの絵本です。
「だるまさんが」は「だるまさん」シリーズの1つで、
の3部作でよく扱われています。
「だるまさんが」の読み聞かせ方の解説
絵本に興味を持つ時期
「だるまさん」シリーズはストーリーが特にあるわけでもなく、その時その時のだるまさんの反応を楽しむような絵本です。
このように考えると、ストーリーを理解して読むという側面はそこまで必要なさそうです。
それでは子供が大人の語りを聞きながら、短時間であっても絵本を読むことができるのはいくつくらいからでしょう?
子供の発達を知る目安としてよく用いられる遠城寺式乳幼児分析的発達検査によると、
絵本を大人に読んでもらいたがるのは1歳半頃だそうです。
助詞の理解
「だるまさん」シリーズの絵本と子供の発達についてもう少し掘り下げてみましょう。
先述のように、「だるまさんが」は、
「だ・る・ま・さ・ん・が」と見開き全部を使ってだるまさんが動きつつ、次のページで「どてっ」や「ぷっ」などユーモアある反応をします。
「だるまさんが」では
「だ・る・ま・さ・ん・が・・・」
「だるまさんの」では
「だ・る・ま・さ・ん・の・・・」
「だるまさんと」では
「だ・る・ま・さ・ん・と・・・」
というように、展開が異なるわけです。
この展開の違いを生み出しているのは「が」「の」「と」。
つまり助詞ですね。
「だるまさん」シリーズは助詞の性質を理解できるとより楽しめる絵本であることがわかります。
「だるまさんが」
「だるまさんの」
「だるまさんと」
これは当然ながら助詞が違うので、違った意味の文章になるわけです。
子供が助詞によってその文章の違いを理解できるのは何歳頃なのでしょう?
子供の言葉の理解を知るための検査の1つであるLCスケールによると、
子供が助詞を理解するのは4歳後半頃とされています。
まとめ
絵本は自由に読んでいいものです。
字が読めなくても、親御さんが読み聞かせてあげれば充分楽しめます。
内容だって、その子なりの解釈で自由な発想を楽しめばいいのです。
だから絵本に対象年齢というものは厳密にはないのかもしれません。
大切なのは親子で時間を共有することです。
しかし一方で、どんな絵本をどのように読むか、どんな意図の下で読むかで子供の成長を促すきっかけになります。
「だるまさんが」はシンプルな構成で、低年齢からでも楽しめる内容になっています。
「だるまさんが」は子供が絵本に興味を持ち始める1~2歳頃からでも楽しめる絵本と言えるでしょう。
また、「だるまさん」シリーズは助詞の違いによって内容が異なる絵本です。
助詞の理解が始まる4~5歳頃には、文法理解を促す1冊にもなるでしょう。
ちなみに、子供の発達には個人差がありますので、あくまで目安程度に。