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子供の読書量の測定方法
読書量・語彙力・文章理解力には相互関係があると考えられています。
このため子供の読書習慣を把握することは教育者・指導者にとって重要ですが、読書量の推定方法は意外と難しいのも事実です。
例えば子供に読書時間を申告してもらう方法はバイアスを否定できません。
このため子供の読書量の推定には複数の方法を組み合わせて行う場合があります。
以下、子供の読書量の推定方法で主なものを挙げていきます。
解説
読書時間
一番シンプルでわかりやすい方法ですが、先述の通り過大・過小な申告といったバイアスを否定できない点が難点です。
このようなバイアスはもう少し専門的に言うと、「社会的望ましさによる歪み」と言えます。
読書冊数
一定期間に読んだ本の冊数を答えてもらう方法です。
先程の「読書時間」と共通しますが、「社会的に望ましさによる歪み」がネックとなります。
また、例えば「今月何冊本を読みましたか」は比較的答えやすいでしょうが、「今まで生きてきて何冊本を読みましたか」は答えにくいでしょう。
このように、「読書時間」や「読書冊数」の申告は、短期間の読書量の推定には役立ちますが長期間の調査には(被験者がそもそも思い出せないので)不向きであると言えます。
生活時間帯調査
生活時間帯調査とは、1日の活動内容と時間帯を報告してもらう方法です。
例えば「夕食」は何時から何時まで、「勉強」は何時から何時まで、「ゲーム」「お風呂」「読書」などその人の1日を構成する活動を挙げていってもらいます。
そしてこの中の「読書」の時間から読書量を推定します。
活動選好調査
活動選好調査とは、「活動AとB、どちらが好きですか」という問いを様々な活動で質問する方法です。
これによってその子が相対的にどのくらい読書が好きか調査し、そこから読書量を推定します。
「生活時間帯調査」と「活動選好調査」は被験者に「読書量について調べてる」ということがわかりにくいため、バイアスを避けることに寄与します。
日誌法
読書をした際に記録を取ってもらう方法です。
正確にかつ長期間読書量を調べることができます。
デメリットは調査のための(いちいち記録を書いてもらわないといけないので)コストと手間がかかることです。
図書貸出数
文字通り図書室(あるいは図書館)の貸出冊数を調べる方法です。
「借りたけれど読まずに返した」というケースによる歪みは否定できないものの、実際に本を借りたという「行動」を集計するためある程度の理論的妥当性が担保できます。
また先述の「日誌法」よりもコストを低く抑えられる点もメリットと言えるでしょう。
タイトル再認テスト
参考資料
『複数の読書量推定指標と語彙力・文章理解力との関係』(一般社団法人 日本教育心理学会)2023年6月13日閲覧