エアロゾル感染とは?
エアロゾル感染とは、文字通りエアロゾルを媒介とする感染経路のことです。
エアロゾルとは気体中に浮遊する微小な粒子のことです。
エアロゾルが含まれる気体とは、例えば粉塵やスモッグなどをイメージするとわかりやすいのではないでしょうか。
要するに微小な物質が混ざっている通常の空気とはちょっと異なる気体ですね。
飛沫感染や空気感染との違い
飛沫感染とは咳やくしゃみによって飛んだウイルスが、他の人の口や鼻に入る感染ですね。
空気感染とは、空気中を漂うことができるウイルスによる感染症です。
もう少し正確に言うと、
飛沫感染とは飛沫、つまり咳など水分に包まれた状態でウイルスが存在します。
水分で包まれているので、空気より重く、比較的短時間で地面に落ちてしまいます。
またその水分がなくなってしまえば、ウイルスは存在できません。
一方、空気感染できるウイルスはそういった水分を必要としません。
空気中に漂うことができるので、飛沫感染のウイルスよりは長時間浮遊でき、そのため広範囲に移動することができます。
ではエアロゾル感染はどちらと同じなのか、あるいはどちらに似ているのでしょうか。
エアロゾル感染が飛沫感染と空気感染どちらに似ているかは意見が分かれていてはっきりと答えが出ているわけではありません。
しかしながら、冒頭で書いた通りエアロゾルを含む空気とは、スモッグなどのように通常の空気とはちょっと違いますね。
このように考えると、
少なくともエアロゾル感染は空気感染とまったくのイコールではないと言えます。
また、飛沫とエアロゾルでは重さが異なりますし、そうなれば空気中を漂える時間や範囲も異なりますから、
エアロゾル感染は飛沫感染ともまったくのイコールではないことがわかります。
ちなみにエアロゾル感染は正式な医学用語かと言えば微妙で、そもそも飛沫感染や空気感染と同格に扱うことが微妙と言えば微妙です。
コロナウイルスとエアロゾル感染
世間的には、コロナウイルス関係で「エアロゾル感染」という単語がより有名になった感じはありますね。
しかしながら、先述ように「エアロゾル」も「エアロゾル感染」も、もともとある用語です。
そして、
コロナウイルスがエアロゾル感染するかどうかはまだ解明されていません。
また、先ほど書いた通りエアロゾル感染と空気感染はまったくのイコールではありませんから、
コロナウイルスが空気感染するかどうかもまだ不明です。
そのため、
「コロナウイルスはエアロゾル感染する。つまり空気感染するんだ」と早とちりな解釈は避けたいものです。
新型の感染症ということで情報がいろいろ出回っていますが、現状としてはインフルエンザ同様の感染症対策を行いたいものです。
具体的には飛沫感染と接触感染に対する予防です。
おわりに
コロナウイルスの騒動によりマスクな品薄状態になっていますが、
飛沫感染や接触感染の予防には、マスクよりも適切な手洗いが効果的です。
予防する意識は大切ですが、過度な不安も疲れてしまいます。
また誤った情報や捉え方で行動するのも建設的ではありません。
適切に危機感を持つことが大切なのでしょう。
参考資料
『新型コロナウイルスに関連した感染症対策に関する対応について』(文部科学省)2020年2月5日検索
『新型コロナウイルス感染症に備えて ~一人ひとりができる対策を知っておこう~』(首相官邸)2020年2月5日検索
『新型コロナウイルスに関するQ&A』(厚生労働省)2020年2月5日検索
『新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について(令和2年2月4日版)』(厚生労働省)2020年2月5日検索
『新型コロナウイルス感染症に関する清掃・消毒について』(東京都感染症情報センター)2020年2月13日検索
『新型コロナウイルス(2019-nCoV)感染症への対応について (2020年2月9日版)』(日本救急医学会)2020年2月13日検索
『エアロゾルとは』(日本エアロゾル学会)2020年2月13日検索
『新型コロナウイルスのエアロゾル感染、厚労省「証拠なし」』(日経ビジネス)2020年2月13日検索