はじめに
「社会的失言検出課題」の例です。
正式な検査ではなく、数をこなして練習できるようあくまで例題です。
といった内容をご理解の上で例題に目を通していただけると理解が深まると思います。
問題文
恋人になったばかりのミホとアキラ。
今日は初めて、ミホの家にアキラが来ます。
ミホはアキラのためにカルボナーラのパスタを作っています。
玄関のインターホンがなり、ミホはアキラを迎え入れます。
「パスタを作ったんだけど、よかったらどう?」ミホは言いました。
「嬉しいよ。ありがとう。僕はパスタが大好きなんだ。カルボナーラだけは苦手だけど」とアキラは言いました。
質問
①気まずいことや言うべきでなかったことを言った人はいますか?
②気まずいことを言った人は誰ですか?
③なぜそれを言うべきではなかったのでしょう?
④なぜその人はそのように言ったと思いますか?
⑤その人は何を知っていて、何を知らなかったですか?
⑥相手はどのように感じましたか?
答え
①いる
②アキラ
③ミホが作ったパスタはカルボナーラだったから。
④たった今ミホがカルボナーラを作ったことは知らなかったので、単に好みを事前に伝えたつもりだった。
⑤ミホがカルボナーラのパスタを作ったことを知らなかった。
⑥せっかく作った手料理が恋人の嫌いな料理と知って残念な気持ちと悲しい気持ち。
解説
料理を作ったあとなどに、その人の好みに沿わないとわかると辛いものです。
おそらくアキラもすでにカルボナーラが作られていることを知っていれば、カルボナーラが苦手であることを今回は伏せていたのではないでしょうか。
アキラとしては、「カルボナーラが嫌い」というネガティブな表現を使って「それ以外のパスタは大好き」という気持ちを引き立てたかったのでしょう。つまり悪気はなかったわけです。
自分の好みを伝えることは大切なことです。
そうやって互いの価値観を知ることで、より理解し合った関係になれます。
しかし今回のように、何かをネガティブに言うことはリスクが伴います。
もしも今回、ミホが作ったパスタがトマトのパスタだったとしても、ミホはカルボナーラのほうが好きという可能性もあります。
何かの表現を引き立てるために別の何かを否定する言い回しは、相手の価値観がしっかりわかったあとに使わないと失言につながります。