アイオワギャンブリング課題とは?
アイオワ・ギャンブリング課題とは、報酬と罰金の確率が異なるカードを使って人がどれを選ぶかを見る課題です。
この課題を発明した研究者達が、アイオワ州に勤務していたためこの名前がついたとされています。
「ギャンブリング課題」「ギャンブリングタスク」「iowa gambling task」など呼ばれ方は様々ですがいずれも同一のものです。
解説
ギャンブリング課題の内容
目の前に4つの山札があります。
被験者は複数回に渡って好きな山札から1枚ずつカードを引いていきます。
カードには報酬の額か罰金の額が書かれており、引いたカードに応じて報酬をもらったり罰金を払ったりします。
仮に4つの山札をA・B・C・Dとします。
それぞれの山札の報酬と罰金のバランスは以下のようになっています。
(実験は海外のものであるためお金の単位は「ドル」ですが、ここではわかりやすくするため便宜的に「円」で表記したいと思います)
- A:報酬は100円。ただし10回に1回1250円の罰金
- B:報酬は100円。ただし4回に1回500円の罰金
- C:報酬は50円。ただし10回に1回250円の罰金
- D:報酬は50円。ただし4回に1回100円の罰金
要するに、確率論で計算するとAとBは1回あたりの報酬は大きいですが罰金の高さと確率から結局トータルはマイナスの利益になる。CとDは1回あたりの報酬は小さいですがトータルはプラスになるような設定になっています。
被験者はこの確率は事前に知らされてはおらず、カードを引いていく中でこの傾向を読み取らなければいけません。
そしてどの山札から多くカードを引こうとするかでその人の性格が出ます。
ギャンブリング課題の意図の解説
ギャンブリング課題のある意味の正解は、目先の額の大きさにとらわれず、トータルでプラスになるCやDの山札を選択することです。
たとえ確立を知らされていなくても、多くの人は4つの山札からそれぞれカードを引く中で、AとBはリスクが高く割に合わないこと、CとDは1回の当たりは少額だが着実に利益を出していけることがわかっていきます。
しかしながら、脳損傷で衝動を抑えることが難しくなった人や、ギャンブル依存症の人はAやBを選んでしまう傾向があります。
目先の利益と長期的な利益を天秤にかける冷静さの表れと言えるでしょう。
参考資料
ダニエル・ネトル(Daniel Nettle)(著)、竹内 和世(翻訳)『パーソナリティを科学する―特性5因子であなたがわかる』白揚社、2009年