現前事象とは?
言葉の発達における「現前事象(げんぜんじしょう)」とは、話す内容が「今・ここ」であることです。
現前事象に縛られた発話は、2歳~3歳前半頃によく見られます。
子供の言葉の発達において特徴的な様子の1つと言えます。
解説
言葉の発達における「現前事象」
子供は言葉の発達において「今・ここ」以外の内容を話すことが難しい時期があります。
発達には個人差があるのであくまで目安ですが、子供は1歳頃から単語を話し2歳頃には2語文を話せるようになっていきます。
そして文章で話すことは3歳あるいは3歳後半頃から可能になっていきます。
つまり2歳~3歳頃には文で話すことができるようになるわけですが、当然なんでも話せるわけではありません。
子供の未熟な会話の様子において特徴的なものの1つが現前事象の会話です。
大人が「昨日のこと」や「保育園であったこと」を聞いているのに、「今・ここ」のことしか言葉にできないことがあります。
このように子供は今・ここでない話題、つまり「非現前事象」を話すことが難しい時期があります。
2歳~3歳前半頃は非現前の事態を仮想して答えることが難しく、応答が現前事象に限られることが比較的見られます。
そして3歳後半頃になってくると、徐々に非現前事象の会話が可能となっていきます。
「現前事象」の例
例えば「お友達は誰がいるの?」と聞いたとき、本当に仲の良い友達ではなく単にその場に居た子を答えるなどは現前事象的発話の例と言えるでしょう。
このように非現前事象の会話がまだ難しい時期は、目の前に選択肢を提示するなどして会話を行うほうが子供の真意がわかるかもしれません。
幼児の話し方でよくある特徴一覧
参考資料
『質問―応答関係検査1―検査の作成とノーマルデータ―』(日本音声言語医学会)2023年11月13日閲覧
『質問―応答関係検査2―質的分析と会話能力の段階設定―』(日本音声言語医学会)2023年11月13日閲覧