子供と見る、あるいは子供に見せることを想定した検閲的レビューです。
適宜ネタバレも含みますのでご了承ください。
銀魂は子供向けか?
ギャグとシリアスの絶妙なバランスと、登場人物達の信念のある人情劇で感動を誘う銀魂。
アニメも漫画も人気の作品の1つです。
江戸に宇宙人が襲来したというパラレルワールドにより、時代劇とSFの双方の世界を描ける自由度の高い世界観も作者の頭の良さがうかがえます。
少年ジャンプに掲載されていた作品ということもあり、基本は健全な少年漫画である銀魂ですが、やや大人向けのきつい下ネタは大人が低年齢の子供と見ると気まずいかもしれません。
また(政治も含めた)社会風刺・パロディのあるギャグは(特に漫画に知識のある)大人はおもしろいかもしれませんが子供には「?」かもしれません。
こういった点から、銀魂は子供が見ても差し支えありませんが、幼児や小学校低学年にわざわざ勧める作品ではないのではと考えられます。
表現や描写の解説
性的な表現
主人公である坂田銀時は、キャバクラやホストが乱立する飲み屋街である歌舞伎町に住んでいます。
そのためストーリーも必然的にそういった要素が加わることが少なくありません。
また、女性の性的な映像シーンはそこまではないものの、ギャグ自体には下ネタが多く、その内容もある程度きついものになっています。
暴力的な表現
バトル漫画でもある銀魂は、戦闘シーンや流血シーンもある程度見られます。
しかし映像のグロテスクさはそこまでではなく、比較的押さえられているのではと思います。
反社会的な表現
そもそも主人公の坂田銀時が住む地域自体が治安が悪いので、ヤクザなど反社会的組織が絡むこと話も多々あります。
犯罪を助長したり肯定するような描写は基本的にない点と、反社会的表現の描写もあくまで子供向けでリアルなものではないので許容範囲かと思います。
言語・思想関連の表現
銀魂の世界は宇宙人によって江戸に廃刀令が出たパラレルワールドを描きます。
それゆえに侍の威厳を取り戻そうとする思想犯が登場します。
思想犯は穏健派や過激派とその手法は様々ですが、いずれにせよこういった善悪を明確に分けることのできない複雑な心情が描かれます。
政治的複雑さや社会の不条理さを描く銀魂ですが、最終的には子供がわかりやすい勧善懲悪の結末に着地する展開が多く、教育に差し支えるような展開はないのではと思います。