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昼/夜ストループ課題とは?
「昼/夜ストループ課題」とは、主に子供用のストループ課題を指します。
「昼/夜課題」「day/night課題」「昼/夜ストループテスト」など名称が微妙に異なる場合もありますが、本質としては同じものです。
通常のストループ課題では優勢反応を引き出せない幼児などに対して行う場合が多いです。
解説
ストループ課題
ストループ課題とは例えば「赤」と書かれた青色の文字の色を答える課題です。
文字の色を答えるわけですから当然この場合は「青」と答えないといけないわけですが、文字自体は「赤」と書かれているため被検者ついつい「赤」と答えてしまいます。
このようにストループ課題はパッと見の印象で答えるのではなく頭の中で冷静に自分を制御する力が必要です。
ストループ課題と実行機能
ストループ課題は上記のような性質から、実行機能における「優性反応抑制」能力を見る検査と位置付けられます。
ついつい文字を読んでしまう「優勢反応」を「抑制」し、あくまで文字の色を答えてもらいます。
ちなみに実行機能とは人が物事に取り組み達成する過程での認知システムであり、具体的には
- 優勢反応の抑制
- 認知セットの柔軟な切り替え
- ワーキングメモリに保持された情報の更新
などがあります。
昼/夜ストループ課題の内容と意義
このようにストループ課題は「ついつい出てしまう反応」を前提としています。
しかしながら、まだ文字を読むことが定着しきっていない幼児期においては、文字と色を使った通常のストループ課題では優勢反応が成立しません。
このため昼/夜ストループ課題のようなもっと直感的にわかる課題を用います。
昼/夜ストループ課題は月の絵が出てきたら「昼」、太陽の絵が出てきたら「夜」と反対のイメージを答えます。
これにより優勢反応を生じさせ、その抑制能力を見ます。
ただし、そもそも月の絵が夜、太陽の絵が昼を子供に強く連想させるのかは諸説あり、日本では改良の必要性が指摘されることもあります。
いずれにせよ子供に優勢反応を生じさせる課題が実行機能の評価につながることは重要な視点と言えます。
実行機能と心の理論
幼児期の実行機能を評価する意義の1つに、心の理論との関係性が挙げられます。
実行機能の発達と心の理論の発達は何らかの関係があるという見解があり、この背景から発達障害児などの実行機能の評価はコミュニケーション支援につながる可能性が示唆されています。
心の理論について
参考資料
『心の理論の生涯発達における実行機能の役割』(心理学評論刊行会)2021年11月6日検索
『幼児版ストループ課題の作成』(公益社団法人 日本心理学会)2021年11月6日検索
『幼児における「心の理論」と実行機能の関連性 : ワーキングメモリと葛藤抑制を中心に』(一般社団法人 日本発達心理学会)2021年11月6日検索
『実行機能の初期発達,脳内機構およびその支援』(心理学評論刊行会)2021年11月6日検索
『幼児における「心の理解」の指標としての嘘をつく行為と葛藤抑制能力との関連』(公益社団法人 日本心理学会)2021年11月8日検索