範列的とは?|
言葉の発達における「範列的(はんれつてき)」とは、一部の語句を入れ替えただけで文章形式自体は同じ表現を使いまわしている発話状況を指します。
範列的な表現は3歳後半頃に見られる自然な傾向で、子供の言葉の発達における特徴的な成長過程の1つと考えられます。
解説
言葉の発達における「範列的」表現
範列的な発話がある場合、子供は一見すると多様な文章を話しているようですが、実態としては一部の語句を入れ替えているだけで文章の使い回しが見られます。
つまり文章表現のレパートリーがまだ少ないわけです。
発達には個人差があるのであくまで目安ですが、子供は1歳頃から単語を話し2歳頃には2語文を話せるようになっていきます。
そして文章で話すことは3歳あるいは3歳後半頃から可能になっていきます。しかしこの時期はまだ文章での表現力が不十分です。
範列的な発話は3歳後半頃に見られ、その後は徐々に減少していきます。
「範列的」の例
例えば「どうして出かけるときは家の鍵をかけないといけないのか」子供が説明するとします。
この場合、一般的には「泥棒が入らないようにするため」「物を盗まれない(取られない)ようにするため」などが考えられるでしょう。
範列的な表現をする子供の場合、例として「鳥が逃げなようにする」「亀が逃げないようにする」など、「逃げないようにする」という1つの理由を主語を入れ替えて複数の理由にしようとします。(結果として「鍵を閉める理由は不審者が入らないようにするため」という本質的な理由に辿り着けていません)
このように文章レパートリーが少なく範列的な発話をする子供の場合、文脈とは少し逸れた文章の使い回しが見られます。
幼児の話し方でよくある特徴一覧
参考資料
『質問―応答関係検査1―検査の作成とノーマルデータ―』(日本音声言語医学会)2023年11月13日閲覧
『質問―応答関係検査2―質的分析と会話能力の段階設定―』(日本音声言語医学会)2023年11月13日閲覧