療育の仕事コラム

#MeToo障害者から健常者がハラスメントを受けることもある

公開日:2018年7月19日

SNS上で「#MeToo」という形でセクハラの被害体験を告白・共有していこうという運動が話題になりましたね。

セクシャルな面だけでなく、世の中にはいろいろなハラスメントが存在します。

そして、障害を持った人からハラスメントを受けることもしばしばです。

「障害がある」という立場を利用してハラスメントを行う人がごく少数ながらみられることもあります。
 
 

 
 
 

1. 障害者施設でのセクシャルハラスメント

ハラスメントで一番認知されているのが、性差によるハラスメント、セクシャルハラスメントなのではないでしょうか。

障害者施設などで、スタッフが入所者からセクハラを受けることが時折あります。

これは男女ともにあり得ます。

例えばトイレや入浴介助をする際にスタッフの体を触ろうとする。いやらしい言葉を言う。

例えば「まだ結婚しないの?」「子供は作らないの?」といった立ち入った話ばかりする。

例えば介助の際のスタッフを性的な理由で指名したり、逆に「~さんがいい」とスタッフを拒否する。

利用者と職員では職員の方が立場が弱く、セクハラに泣き寝入りすることもしばしばあります。

また、「~さんはそういうことをしたり言ったりするのが当たり前」とベテラン職員が利用者の言動を黙認して、新人の職員がそれに我慢するという構図もよくあります。
 
 
 

2. 日常に起こりうるハラスメント

障害者からハラスメントを受けることは、施設内だけでなく日常の中でもあり得ます。
 
 
近年、発達障害という概念が社会に浸透してきましたね。

発達障害の難しさは、目には見えない障害であるということ。

身体的には障害がないことも珍しくなく、日常生活は支障なく送れる。
ただし人とのコミュニケーションや特定の場面において困難さが見られるといったケースがあります。
 
 
飲食店や接客業をやっていて、常軌を逸したクレームを受けることがあります。

要するに、「変わったお客さん」が来ることがあります。

日本の場合、従業員よりお客さんのほうが強い立場であることが多いです。

そのため、例えお客さんのほうが非常識な行動をとっても従業員は「はい」と言わざるを得ないことがあります。

クレームに対してすべてを従業員に我慢させるのではなく、中立的に対応する職場の雰囲気が大切です。
 
 
もちろん、発達障害だから困った言動が見られるというわけではありません。
一方で、「その場の空気」とか「相手の気持ち」とかを上手く読めない人が世の中に一定数いることも事実です。
 
 
 

3. 学校でのトラブル

ハラスメントというとちょっと違いますが、
学校側の配慮が足りず、障害を持った子とその周囲の子がトラブルになることもあります。

例えば発達障害により多動なお子さんがいます。

席をすぐ立つ。授業中なのに周囲に話しかけてばかりいる。

そういったお子さんの背景を配慮できない学校だと、そのお子さんだけでなく、そのお子さんの隣の席のお子さんまで勉強に集中できなくなります。

発達障害のお子さんに適切な配慮をできないことは、本人だけでなく周囲のお子さんにまで影響を与えます。

多動性が強いお子さんを先生達が配慮できず、クラスの雰囲気が荒れてしまうことがしばしばあります。

そうなってしまうと、そのクラスにたまたま居合わせた内気で真面目なお子さんは自分は悪くないのにストレスを感じながら学校生活を送ることになります。
 
 
 

4. おわりに

障害がある人もない人も、どちらも同じ人間で、
人間同士だから双方向にハラスメントは起こる可能性があります。

「障害者がハラスメントをするわけない」とか、
「健常者がハラスメントをするわけない」とか、
「ハラスメントの被害者はいつも障害者」とか、
「ハラスメントの被害者は健常者が多い」とか、

そいうった一方通行の問題ではないわけです。

そしてハラスメントの背景には、

互いの理解が充分でなかったとか、
周囲の配慮が充分でなかったとか、
環境や状況が適切でなかったとか、

いろいろな背景があります。

それぞれの意思を尊重した対応が見つかることが大切ですね。
 
 
 

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