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発達障害児の九九の誤り方の傾向
発達障害児の九九の誤答傾向としては、「音韻の誤りが多岐にわたる」「5が特異数となっていない」点が挙げられます。
これらは定型発達児と比較した場合の、発達障害児における特徴的な九九の誤りと言えます。
一方で、「7・8・9など後半の段が間違いやすい」といった傾向は定型発達児・発達障害児の双方に見られました。
解説
発達障害児における九九の難しさ
文部科学省の調査によると、小学校2年生では8.2%の児童が学習面または行動面で著しい問題を抱えているとされています。
日本LD学会は発達障害児を対象にした九九の傾向を調査しました。
知的に遅れが見られない自閉症スペクトラム障害(ASD)・注意欠如多動性障害(ADHD)・学習障害(LD)の児童を対象に、九九の誤答傾向を調べています。
発達障害児の九九のつまずき方
音韻の誤りが多岐にわたる
発達障害児は定型発達児と比較すると、傾向としては九九の正答率が低い結果となっています。
この背景の1つとして、音韻の誤りが多岐にわたっている点が挙げられます。
そもそも九九は、4(し)・7(しち)・8(はち)など音韻が似た九九の誤答率が高い傾向にあります。
これは「唱える際の音が似ているので混同しやすい」ということを表していると言えるでしょう。
発達障害児の場合は1(いち)と7(しち)、6(ろく)と9(く)など4・7・8以外の音韻でも混同している傾向が比較的見られます。
5が特異数となっていない
「特異数(とくいすう)」とは、基になる数であったり生得的に量が理解しやすい数のことです。
要するに特異数とは他の数より感覚的にわかりやすい数のことです。
一般的に九九の特異数は1と5が挙げられますが、発達障害児の場合5が特異数となっていない傾向があります。
つまり定型発達児にとっては5の段や5を含む九九は「比較的簡単」な傾向にあるのですが、発達障害児にとっては他の段と同じくらい難しい・誤答となっているということです。
参考資料
『九九学習で誤答率の高い九九の要因と特異数』(一般社団法人 日本LD学会)2021年12月16日閲覧
『算数障害を有する児童に対する九九の自動化のための学習支援』(上越教育大学)2021年12月16日閲覧
『通常の学級に在籍する児童への特別支援学校のセンター的機能を通したわり算指導に関する一考察』(一般社団法人 日本LD学会)2021年12月16日閲覧