偏食は大人になったら治るのか?
食べ物の好き嫌いは、大人になっていく中で自然と改善・変化していくものなのでしょうか?
個人差はありますが、食べ物の好き嫌い(偏食)は大人になっても大きくは変わらず、「嫌いな食べ物は嫌いなまま」というケースが多数派のようです。
しかしながら、その嫌いな食べ物を実際に食べるか否かについては、変化がみられるようです。
解説
偏食の出現と固定化
「偏食」は一般的に「食べ物の好き嫌いが激しく特定のものだけを食べること」を指すと考えられます。
個人差はありますが食べ物に対する好みは離乳食の時期から大なり小なり見られ、自我が強くなる3歳頃からはっきりしてきます。
そして学童期を経て思春期には徐々に食べ物の好き嫌いが固定化されていきます。
西九州大学の調査によると、嫌いな食べ物の内容は幼児期から大学生期にかけて大きく変化していない様子が見られます。
大人になろうが嫌いな物は嫌いといったところでしょうか。
また親や先生から無理やり嫌いな物を食べさせられても、7割の人は大人になってもそれが嫌いなままといった見解もあり、偏食改善の難しさがうかがえます。
偏食の改善
このように多くの人は子供の頃に嫌いな食べ物は大人になっても嫌いなままです。
これは食育を頑張る親にとってはやるせない結果とも言えます。
しかしながら、私達は「好きではないけれど食べることができる」食材というものがあります。
先ほどの論文によると、
大人になっても嫌いではあるが、子供の頃と異なり全部あるいは一部を食べることができるようになった人は全体の7割を占めます。
このように、嫌いではあるけれどそれを食べることができる処世術のようなものを、多くの人は成長する中で身に着けるようです。
以上をを踏まえると、子供に嫌いな食べ物を無理やり食べさせるのは得策ではありません。しかしながら食卓に嫌いな食材も出してはおくなど「嫌いな食べ物も食べる機会(チャンス)を作る」ことは大切であることが考えらえられます。
参考資料
『偏食の観点からみた幼稚園児の食習慣に関するパス解析』(一般社団法人 日本家政学会)2021年9月11日検索
『幼児の偏食と生活環境との関連』(日本民族衛生学会)2021年9月11日検索
『母親の就業状況別にみた幼児の偏食とその関連要因』(日本民族衛生学会)2021年9月11日検索
『幼児期前期における嫌いな食べ物の質的変化に関する縦断研究』(特定非営利活動法人 日本栄養改善学会)2021年9月11日検索
『幼児期における嫌いな食品の変化と偏食との関連』(西九州大学)2021年9月11日検索
『食の問題行動に関する臨床発達心理研究(1)偏食の経験的定義』(広島修道大学)2021年9月11日検索
『食の問題行動に関する臨床発達心理研究(2)偏食尺度の標準化と偏食の諸特徴』(広島修道大学)2021年9月11日検索
『自閉スペクトラム症児の偏食に対する食物同時提示法の適用』(NPO法人 日本自閉症スペクトラム支援協会 日本自閉症スペクトラム学会)2021年9月11日検索
『自閉症スペクトラム障害児の食事に関する問題の検討』(一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会)2021年9月11日検索
『自閉症児の食嗜好の実態と偏食への対応に関する調査研究』(公益財団法人 浦上食品 ・ 食文化振興財団)2021年9月11日検索