偏食と好き嫌いの違い
偏食・好き嫌い共に学術的な一律の定義はありません。
そのためあくまで目安ですが、一般的な認識の違いとして
「好き嫌い」は特定の食品を好悪。(例えばピーマンを食べない)
「偏食」は特定の食品群を好悪。(例えば野菜を食べない)
「好き嫌い」は栄養上特に気にならない。(例えばチョコレートを好きでたしなむ)
「偏食」は栄養面が心配。(例えばチョコレートしか食べない)
などが考えられます。
解説
偏食と好き嫌いの定義
「偏食」国語的は「食べ物の好き嫌いが激しく特定のものだけを食べること」を指すと考えられます。
感じ方は人それぞれですが、一般的に「好き嫌い」は「個人の好みの範囲」であり、「偏食」は「やや病的で生活に影響がある」イメージを持つ人は多いのではないでしょうか。
しかしながら、どの程度が「編食」でどの程度が「好き嫌い」か学術的な定義はありません。
こういった背景を汲み、偏食の定義を研究したものに広島修道大学を中心とした論文があります。
偏食と好き嫌いの印象
上記の論文では「偏食」という言葉に対して人がどのようなイメージを持っているかを調査し、人々が考える「偏食」の特徴を統計的に検討しています。
これによると、人々が考える「偏食」にはいくつかの特徴があります。
1つ目は偏食の理由が「好悪」であるということです。
つまりアレルギーや宗教的な理由ではなくそれが個人の好みであるということです。
これは「偏食」も「好き嫌い」も同様であると言えますが、アレルギーなどと区別する観点としては重要でしょう。
2つ目は「食品群を」を好悪するということです。
つまり冒頭で述べたように「ピーマンが」という特定の食材ではなく「野菜が」という特定の食品群を好悪する傾向です。
このような傾向は比較的「偏食」と「好き嫌い」の印象に関わっているのではないでしょうか。
3つ目が、栄養面の不安材料になっている点です。
例えばケーキが嫌いな子供を「偏食だ」とはあまり言わないでしょう。それはケーキはあくまで嗜好品だからです。
一方で、野菜を全く食べない子がいたら、親は心配するケースが多いです。この背景にはその子の栄養面に対する危惧があります。
以上のように偏食には3つの傾向があります。
ゆえに偏食と好き嫌いの違いは栄養に関わる食品群に偏りがあるかという点がポイントになると考えられます。
参考資料
『偏食の観点からみた幼稚園児の食習慣に関するパス解析』(一般社団法人 日本家政学会)2021年9月11日検索
『幼児の偏食と生活環境との関連』(日本民族衛生学会)2021年9月11日検索
『母親の就業状況別にみた幼児の偏食とその関連要因』(日本民族衛生学会)2021年9月11日検索
『幼児期前期における嫌いな食べ物の質的変化に関する縦断研究』(特定非営利活動法人 日本栄養改善学会)2021年9月11日検索
『幼児期における嫌いな食品の変化と偏食との関連』(西九州大学)2021年9月11日検索
『食の問題行動に関する臨床発達心理研究(1)偏食の経験的定義』(広島修道大学)2021年9月11日検索
『食の問題行動に関する臨床発達心理研究(2)偏食尺度の標準化と偏食の諸特徴』(広島修道大学)2021年9月11日検索