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ハイコンテクスト文化・ローコンテクスト文化とは?
ハイコンテクスト文化・ローコンテクスト文化は高文脈文化・低文脈文化とも言われます。
コンテクストとは「文脈」という意味です。
ハイコンテクスト文化とは言葉だけでなくその文脈を非常に重要視する文化であり、ローコンテクスト文化はその逆で実際に言語化されたものを重要視する文化のことです。
解説
高・低文脈文化
言語外の情報の重要度が高い文化・コミュニケーションスタイルをハイコンテクスト文化あるいは高文脈文化と言います。
言語外の情報よりも実際に語られた言葉に重きを置くのがローコンテクスト文化あるいは低文脈文化と言います。
ハイコンテクスト文化における「コンテクスト(文脈)」とは、表情や身振り、その場の空気や習慣などを指します。
「以心伝心」や「言わなくてもわかる」「空気を読む」といった営みは、ハイコンテクストな文化と言えます。
性質が異なるハイコンテクスト文化・ローコンテクスト文化ですが、どちらが正しいという序列はありません。
ハイ・ローコンテクストの誤解
文脈を重要視するという観点から、日本の文化をハイコンテクスト文化であると位置づける人は多いです。
しかしながら、どういった言語・文化圏・国がハイコンテクスト文化・ローコンテクスト文化に該当するかという科学的根拠はありません。
元々ハイコンテクスト文化・ローコンテクスト文化という概念をはじめに述べたのはアメリカの文化人類学者エドワード・T・ホール氏とされています。
氏は自身のエッセイにてハイコンテクスト文化・ローコンテクスト文化という概念を書きます。
その中でハイコンテクスト文化の例が日本語、ローコンテクスト文化がドイツ語という例を挙げます。
しかしながら氏が研究論文ではなくエッセイにてこれらを述べていることから、氏自身もこれはあくまで個人的な考えに基づく例であることは明らかです。
他の研究者の研究においても、特定の国や文化をハイコンテクスト文化・ローコンテクスト文化に分類できる科学的な証明はされていない結果が多数派のようです。
ハイ・ローコンテクストという考えの捉え方
言外のメッセージへの依存度という点でハイ・ローコンテクストという考えは非常に興味深い概念です。
しかしながら前述のように、ではどういった文化・国がハイ・ローコンテクスト文化なのかという区分けはできるものではありません。
よって、空気を重んじる「忖度」が強調される昨今の日本ですが、日本が外国と比べてハイコンテクスト文化なのかというとそういった証明は特にされていません。
そのためあくまで概念の1つとして、ハイ・ローコンテクスト文化という考えは扱うことが適切と考えられます。
参考資料
『「日本人はハイ・コンテクスト文化、○○人はロー・コンテクスト文化」論にまつわる誤解』(YAHOO!ニュース)2021年5月12日検索