部活で無視された被害者(中学生)の事例
思春期のいじめにおける心理的要因として、「友達集団への依存」や「未熟な自己開示」などが挙げられます。
以下、事例を踏まえ見ていきます。
いじめの事例と解説
いじめの事例
中学1年生の時に、部活(運動部)でいじめられたというか、無視された。同じ学年の女の子たちに無視された。それまでは、(その子たちとは)特に仲が良かったわけじゃないけど、普通に仲が良かった。(いじめの原因は)ライバル意識だと思う。試合の時とか、自分がリーダーになりたいから、点が入った時に「ラッキー」と掛け声するのに、必要以上に大きな声を出したりした。また、私が、彼女たちのことに必要以上につっこんだ。例えば、先生に呼び出された子に、「どうしたの。何があったの」としつこく聞いたりした。そういったことが気に入らなかったみたい。無視は長くは続かなかった。部活の先生が気付いて、私たちの学年を呼び出して、「何が原因なんだ。思ってることを全部言え」と、皆に正直な気持ちを話させた。そうしたら、皆お互い悪いところがあるのが分かって、それ以来、無視はなくなった。もとのように普通に仲良くなった。女の子には、よくあることだと思う。
丸山真名美(1999)「思春期の心理的特徴と「いじめ」の関係」より引用
解説
上記の事例は、自分にも非があることを自覚しているケースと言えます。
また、先生が介入することで関係が改善したケースでもあります。
大人が介入しても解決しない・むしろ(間違った介入で)悪化してしまういじめも世の中にはあるでしょうが、このように解決できるケースもあります。
事例の中学生達は、未熟な自己開示によって関係性を悪くしてしまいます。その自己開示を大人が手助けすることで、いじめの解決に至っています。
被害者は部活でのライバル意識を間違った方向で表出し、結果として無視の対象になってしまいます。
加害者側もそういった不満をうまく伝えることができず、無視という形で解消してしまいます。
先生が仲裁することでお互いに言いたい事を言え、関係性が修復されます。
いじめの事例集と解説
参考資料
丸山真名美(1999)『思春期の心理的特徴と「いじめ」の関係』(心理科学研究会)2024年3月8日閲覧
楠凡之(1997)『少年期のいじめ問題の発生機序と教育指導 : 自我・社会性発達の観点から』(心理科学研究会)2024年4月28日閲覧