社会で円滑に生きていくためには知的機能や身体的能力だけでなく社会性が必要です。
暗黙のルールを知る、マナーを守る、空気を読む、人の気持ちを察する etc…
これらはソーシャルスキルと呼ばれます。
ソーシャルスキルトレーニング(SST)はアスペルガー症候群やそのほか発達障害、あるいはコミュニケーションが苦手な人にとって有効です。
【何を話すべきか】
何を話していいかわからない。そういうことってあります。
会話がない、あるいは続かないとなんだか気まずいです。
逆に会話が弾むとなんだかその人と上手くコミュニケーションがとれていると感じることができますね。
なぜ会話がないと気まずいのでしょう?
仲が良い人とは自然に会話が発生します。
仲が良い人とは自然に距離も近くなります。
例えば他人と恋人ではその距離感が全然違いますよね。
人にはパーソナルスペースというものがあります。
補足記事:パーソナルスペース
人には相手との関係性やその状況によって、適切に感じる物理的な距離感というものがあります。
親しい人とほど、距離は近くなります。
これは逆に考えると、距離が近いとその人と仲が良いと人は錯覚するのです。
しかしここで沈黙すると、「距離が近くて仲が良いはずなのに、会話がない」と違和感を覚えるのです。
この違和感が気まずさの正体です。
【会話をすること自体が目的であったりする】
席が隣同士になる。同じ時間を過ごす。距離が近くなる。
しゃべってもおかしくない状況になったときに会話がないと人は気まずいです。
何を話すかではなく、会話があるかないかということ自体が重要な場面というものがあります。
言葉は情報を交換するという側面もありますが、コミュニケーションをとるという側面も大きいです。
コミュニケーションが苦手な人は、意味のない会話が苦手です。
【意味のない会話】
ただ同じ場面にいるから、なんとなくしゃべる。これって大切です。
話すことは常に有益でまとまっていて上手な内容でなくてかまいません。
何気なく・意味はなく・とりとめのない話でいいのです。
何を話していいかわからないという空気が一番気まずいのです。
意味の会話というのは、人間関係を円滑にする潤滑剤です。
【何を話せばいい?】
「そうは言っても、何を話せばいいかわからない」という人は多いでしょう。
そこで、潤滑剤としての会話は何を話せばいいか考えてみましょう。
潤滑剤として用いる「意味のない会話」をするにはいくつかの段階があります。
Step1.意味のない内容でいい
まず当たり前ですが、意味のない会話でいいです。「何を言うべきか」と考えすぎると言葉が出ないです。
まずは「くだらないことでいいんだ」と自分に許可を出してあげることが大切です。
まずはとにかくしゃべってみること。
Step2.質を上げていく
コミュニケーションとしての会話というのは、一種の社交辞令です。
はじめのうちは「今日はいい天気ですね」といった当たり障りのない誰とでもできるような会話が多いでしょう。
けれどいつまでも形式的な会話では堅いだけで会話は弾みません。
人とコミュニケーションをとっていく上で、コミュニケーションの質は変化していかなければなりません。
Step1で話す量を確保したら、今度はその質を上げていきましょう。
「このまえ教えてくれた○○ってお店、行ってきました」
「○○さんが好きだって言ってたお菓子、近所のコンビニで見かけたんですよ」
あなたと相手だからこそできる会話をするのです。
そして同時に、相手に言ってはいけない言葉。つまりNGワードも意識していきます。
言っちゃいけないことを少しずつ見つけていきます。
補足記事:人との会話で言ってはいけないこと
Step3.相手が話しやすいようにする
付き合いが浅い人同士は何を話せばいいかわからないのは誰でも同じです。
だから最初はくだらないことでいいのであなたが話すのです。
でもずっとそのような関係ではいけません。
コミュニケーションを取っていく上で相手との関係性が向上しないといけません。
つまり最初はあなたのほうがたくさん話しますが、打ち解けていく中で相手の方が話すようになっていかないといけないのです。
この話し手から聞き手へと移行していくことが重要です。
もし相手が話してくれないのなら、それはもともとあなたが嫌われているかStep2がうまくいってないかのどちらかです。
Step4.沈黙も自然にする
会話が弾み距離が縮むことで、次の段階は沈黙があっても気まずくないようになっていきます。
ここまでくるには相当親しくなる必要がありますが。
会うと常に会話が発生するというのはそれはそれで面倒くさいものです。
話したいときはあれこれ考えずに気楽に話せるし、黙っていても気まずくならないという人間関係が最も楽ですし理想的です。
【実例】
では具体的に何を話せばいいでしょう?
実例を考えていきます。
天気や季節のこと
先ほど書いた通り、天気や季節のことは当たり障りがなく、付き合いが浅い人や今日会った人との会話には使いやすいです。
その地域のこと
名産品とか観光とか。地域のことも天気や季節同様、初対面の人やそれに近い関係の人との会話で使えます。
共通の知人のこと
お互いが知っている人の話題というのは共感しやすいです。
ただし悪口は避けましょう。
その人が以前言っていたこと
その人が以前言っていたことをネタにするのもひとつの手です。
「この前言ってた○○ってお店、場所どこでしたっけ?」
「この前言ってた○○(映画)どうでした?」
目の前の物
目の前にある物というのはお互いが同じ時間同じ場所で見ている物なので共通の話題にしやすいです。
「それおいしいですか?」
「その携帯のケースかわいいですね」
自分の感想
「このまえ食べた○○がすごくおいしくて」
「さっきすごく変わった人を電車で見かけて」
自分のことを語るのは基本避けたほうが良いですが、沈黙よりはマシな場合があります。
自分のことをきっかけに、相手が話しやすい状況を作る前提なら自分語りもOKでしょう。