知能指数の分布
知能検査の結果の値を知能指数(IQ)と言います。
知能指数は結果のばらつきに着目した値です。
IQの概要は以下をご参照ください。
補足記事:知能指数(IQ)とは? ざっくとイメージがわかる 簡単解説
今日は知能指数の分布をみていきます。
例えば一般的な知能検査のひとつであるウェクスラー式に場合、分布は以下のようになります。
IQ0~70:2.3%
IQ70~85:13.6%
IQ85~100:34.1%
IQ100~115:34.1%
IQ115~130:13.6%
IQ130~:2.3%
これを図にすると以下のようになります。
このように、知能指数の分布は左右対称の山形になることがわかります。
このような状態を正規分布と言います。
知能指数の分布は正規分布となります。
値別のイメージ
IQの平均は100です。
ではIQ110とはどんなイメージなのでしょうか?
「すごく高い!」なのでしょうか「まあ平均より高いけど別にそこまで・・・」っていった感じなのでしょうか?
IQの各値のイメージは以下のようになると考えられます。
IQ0~70:知的障害の可能性がある
IQ70~85:知的障害のボーダーライン
IQ85~100:中の下
IQ100~115:平均あるいは中の上
IQ115~130:高いほう。
IQ130~:すごく高い!
先ほどの分布も合わせて考えると、
IQの平均域(85~115)に該当する人は全体の68.2%です。つまり7割弱です。
平均と標準偏差
IQの分布をみるとわかる通り、IQは平均から15ずつ減るか増えるかでその意味合いが変わっていきます。
100が平均で、100-15=85が平均の境目になります。
100-15-15=70でここが知的障害の可能性が示唆されます。
IQは100という値が平均であり、この15という値は標準偏差と呼ばれます。
平均と標準偏差の値が具体的になんなのかは知能検査の種類によって異なります。
今回説明にとりあげているウェクスラー式は平均100、標準偏差が15です。
ウェクスラー式と並んで有名な知能検査のひとつに田中ビネーというものがあります。
田中ビネーの場合は平均が100、標準偏差が16となります。
つまりウェクスラーなら平均の境目は100-15=85で、田中ビネーなら100-16=84になります。
このあたりの詳しいところは以下をご参照ください。
補足記事:知能指数(IQ)の理解において重要な「平均」と「標準偏差」とは?
まとめ
学校のテストの点数などから考えるとわかりやすいですが、普通くらいの成績をとる人が割合多く、極端に高い人や低い人は数が少ないものです。
すべての点数のレパートリーが均等に存在するのではなく、平均に近いほど多数派になるというのが自然界の傾向です。
IQが高いこと低いこと自体が生きていく上での便利・不便につながるのではなく、その分布の偏りが便利・不便を生みます。
例えばIQが50だから学校の勉強についていけないのではありません。
IQが70未満の人が全体の2.3%という圧倒的少数派だから勉強のカリキュラムが合わないのです。
世の中は多数派にニーズを合わせる傾向があるからです。
IQおよび値の分布というものは物事を分析する際に役に立ちますが、上記のような性質を理解するとIQ絶対主義のような過剰な考えにならなくて済みます。
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