IQ(知能指数)いくつ以下が知的障害か?
IQがいくつ以下だと知的障害と判断されるのでしょう?
まず前提として、
日本の法律では「IQがいくつ以下なら知的障害」とは決めていません。
数値だけでの診断は差別などにもつながりますし、知的障害ゆえに社会生活に困るか否かはその人の状況によるからです。
一方で、現場としては知的障害の有無の判断に知能検査が大きな参考になることも事実です。
あくまで目安ですが、
IQ(知能指数)が70未満の場合、知的障害の可能性が示唆されることが多いです。
以下、今日はIQと知的障害についての解説です。
IQの平均とボーダー
IQを測るには知能検査の実施が必須です。
知能検査は簡易的な物からしっかりした物までいろいろあります。
IQの数値が同じでも、そのIQをどの知能検査で出したのかで意味合いが変わります。
医療現場や福祉上の手続きでも使われる信頼性の高い知能検査の1つにウェクスラー式知能検査があります。
今回はこのウェクスラー式の知能検査の場合で考えてみます。
IQの平均は100です。
また、
IQ85~115、つまり100±15が平均の範囲内と考えます。
先述の通り、
IQ70未満が知的障害の1つの目安。
そして、
IQ70~85が知的障害かどうかの微妙なところ、つまりグレーゾーンになります。
ちなみにこの「IQ70未満」の「未満」は、かっちりと決まってなくて「以下」とする場合もあります。
知能検査の現場とIQの実際
以上のように、
- IQの値だけで知的障害か否かを判断してはいけない
- IQが70未満が知的障害の1つの目安
- IQ70~85はグレーゾーンであり注意が必要
というのが教科書的な見解になります。
そして、現場ではこれらに加えて発達障害の要因も見過ごさないように適宜考慮に入れます。
仮にIQが平均かそれより高くても、発達障害の背景によりコミュニケーションや学校生活に支障をきたす場合があります。
俗に言う「知的に遅れがない自閉症」ですね。
テレビであるようなゲーム感覚の知能検査は別で、
医療機関で行うような知能検査を受けるに至ったのなら、医師や心理士はその子の知能だけでなく発達面も考慮して評価します。
まとめ
IQがいくつ以下だと知的障害と判断されるのでしょう?
日本の法律では「IQがいくつ以下なら知的障害」とは決めていません。
あくまで目安ですが、
IQ(知能指数)が70未満の場合、知的障害の可能性が示唆されることが多いです。
そして、
IQ70~85がグレーゾーンとされます。
IQをきちんと出そうと思ったら、知能検査の実施が必要です。
医療機関や福祉期間で正式な知能検査を受ける場合、なんらかの困り事や心配事があってのことでしょう。
医師や心理士、知能検査に関わるスタッフは皆そうですが、専門家はIQの高い低いではなくその人の「困り感」に着目します。
つまり「IQが低かったら知的障害。IQが高いから大丈夫」で終わるのではなくて、
この子はどんなことで困っているのだろう。
どういった工夫をしたら勉強が行いやすくなるのだろう。
IQ以外に、何か別の背景がないだろうか。
といったことも考えます。
あくまでIQは参考でしかなくて、大切なのはその情報をいかに活用するかです。
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参考資料
『ICD-10』(WHO)2019年3月24日検索