人間にはいろいろな能力があり、その一つに知能があります。
知能を知能検査により数値化したものがIQ(知能指数)です。
補足記事:知能指数(IQ)とは?
その子の知能がどのくらいか。知能検査でどのくらい正確にわかるものなのでしょうか?
知能検査は生まれたばかりの赤ちゃんにとっても有意義なのでしょうか?
今日は知能検査をとる時期と結果の相関について考えます。
IQは重要でしょうか?
IQを測ることに意味はあるのでしょうか?
IQに限らず、世の中ではいろいろな能力がテストされ、数値化されます。
テストをして数値化する意味は、テストの結果で将来を予測できるからです。
「IQが高ければ生涯にわたって知能が高い」
「知能が高ければいい仕事に就ける」
「いい仕事につければお金も稼げる」
「知能が高ければ人間関係にも恵まれる」
「知能が高ければ幸せな人生を送れる」
そんなふうに思ってしまうからです。
つまり現在のIQの値が将来のことを予測できなければ、IQを測る意味はありません。
ではIQはどのくらい正確に将来の予測できるのでしょうか?
一般的な知能検査でどれくらい子供の将来の能力を予想できるのでしょうか?
例えば幼稚園・保育園の年齢に該当するお子さんの知能検査にWPPSI(ウィプシィ)があります。
ノースカロライナ大学の研究によると、
お子さんのWPPSIの結果と学業成績の相関は40%程度でした。
たとえば知能検査で成績がよかった子供を100人集めても、その集団で実際に学業成績が良好なのは40人くらいだということです。
統計処理がされた世界的に有名な知能検査ですら、子供の能力を5割も予測できないのです。
では知能検査を実施することは意味がないのでしょうか?
そうとも言えません。
知能検査自体がどうこうというよりは、
重要なのは知能検査をとる時期です。
幼児期というのはIQ高く出たり低く出たりと安定しないのです。
これが年齢を重ねる中で安定してきます。
つまりIQと学業成績の相関が一致してくる時期がくるのです。
幼稚園や保育園、あるいは小学校1年生など就学したばかりの時期はIQがそれほど正確には出ません。
では、どの時期のIQが学業成績との相関が強くなるでしょう?
学力テストを開発している研究員であるロナルド・ロックは
IQの値で子供の能力を予測するなら少なくとも3年生、つまり9歳頃くらいからと述べています。
また、ウォリック大学のスティーヴン・ストランドの研究によると
11歳の頃の知能検査の結果は高校の学業成績と相関が強いという結果もあります。
小さい頃の知能検査というものは結果が安定せず、鵜呑みにすることは厳禁です。
しかし、だから知能検査の結果をまったく考慮しなくていいというわけではありません。
知能検査は人と比べるだけでなく、
その子自身の得意なところや苦手なところの把握にも役立ちます。
そのように考えると、就学前に知能検査をとることは意味のないことではありません。
どのような検査も解釈の仕方を間違えば意味がありませんし、正しく解釈すれば貴重な情報となります。
知能検査やお子さん自体の特性を理解し、情報は活用していきましょう。
【参考文献】
ポー・ブロンソン、アシュリー・メリーマン『間違いだらけの子育て』インターシフト、2011年