心理学

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依存症になりやすい人の性格因子は?|ビッグファイブ

公開日:2023年12月3日


 
 

依存症になりやすい人

 性格に関する5因子の1つである「誠実性」のスコアが低いと、依存症に陥るリスクがあると考えられます。

 人の性格を分析する際、5つの因子で考える理論を「ビッグファイブ」と言います。

 このうちの1つである「誠実性」は、自身の秩序を維持する自制心に関わり、依存症からの「抜け出す力」に関連すると考えられます。

 
 
 

解説

ビッグファイブとは?

  • N:神経質傾向(Neuroticism)
  • E:外向性(Extraversion)
  • O:開放性(Openness to Experience)
  • C:誠実性(Conscientiousness)
  • A:調和性(Agreeableness)

 ビッグファイブとは、人の性格を5つの要素で考える理論のことで、その5つとは上記のようになります。

 このうち誠実性は、ルールを守る秩序や忠実さ、目標達成のために長期的な取り組みを行える達成努力や自制心に関連します。

 薬物やギャンブルなど「刺激的な物事」を始める好奇心は「外向性」の因子も関わりますが、そこから抜け出せるか否かは「誠実性」の因子が比較的関わっていると考えられます。

 
 

始める理由とやめる理由は違う

 心理学者のダニエル・ネトルによると、人が何かを始める理由とそれをやめることができる理由は分けて考える必要があると述べています。

 つまり酒やギャンブル、ドラッグなどスリルがある刺激的な出来事に手を出す(あるいは手を出そうとする)気質は「外向性」のスコアが関わるかもしれません。

 しかしそれらに手を出そうとした際に踏みとどまったり、一度手を出しても抜け出す自制心は「誠実性」のスコアが関連すると考えられます。

 依存症とは、得られる快感が大きいのが理由ではなく、一旦報酬を味わった行動を抑えられないゆえに生じていることが多いです。

 繰り返すのは快楽を求めるのではなく、その形成された習慣を断ち切れない反復性の強さ・抑制メカニズムの弱さとも言えます。

 
 
 

ビッグ・ファイブ理論とは?

 
 
 

参考資料

ダニエル・ネトル(Daniel Nettle)(著)、竹内 和世(翻訳)『パーソナリティを科学する―特性5因子であなたがわかる』白揚社、2009年
 

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