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じゃんけんからわかる子供の発達と着眼点
前回までのページで、子供がじゃんけんをできるようになる年齢やその教え方について触れました。
最後に、じゃんけんというものが示唆する子供の発達について見ていきます。
じゃんけんを理解し使うことは、「公平な手段で物事を決める」という論理的・理性的行動の表れでもあり、子供の言葉やコミュニケーションの発達において重要な観点の1つと言えます。
解説
公平な手段の運用
じゃんけんとは物事を公平に決める手段の1つです。
仰々しい表現ですが、これは大切なことです。
物事を決める際に、他者とどのような方法で決めるか。
「僕が」「私が」と自分の気持ちを主張するのではなく、相手の自分の気持ちを察して折衷案として公正な方法を選択できる。
何気ないことですが、物事を決める際に子供が自らじゃんけんを提案できるのは、コミュニケーション面の成長と言えます。
もちろんこれはじゃんけんでなくても構いません。
くじ引きでもいいし、他の方法でも構いません。
要は「自分で公平な方法を思いつける」ことが重要です。
ルールの本質を理解する
じゃんけんは「グー」と「チョキ」と「パー」があります。
「グー」・「チョキ」・「パー」はそれぞれ相性があります。
どれが一番強い・弱いはありません。
では、なぜじゃんけんは同じ形の手ばかり出すのは避けたほうがいいのでしょうか。
これはおそらく、同じ手ばかりを出していては「相手に何を出すかがわかって、勝つ手を出されてしまうから」でしょう。
では、じゃんけんはなぜ「後出し」はしてはいけないのでしょうか。
それはおそらく、「相手の手を見た上で自分の手を出せば必ず勝る。ルールが成立しない」からでしょう。
幼児期から小学生にかけて、子供達はルールの本質を理解できるようになります。
じゃんけんで後出しがいけないのは、「そう決まっているから」ではなくそれではゲームが成立しないからです。
このように、じゃんけんや様々な遊びを通して、子供達が物事の本質を理解・説明できるかは大切な成長の指標です。
物事が「そういうルールだから」「破ったら怒られるから」ではなく、もっと本質的な意味がある。
子供にとっても大人にとっても、振り返って考えるべき大切な教訓と言えるでしょう。