時間の利息と手数料を意識する
お金は借りると利息が生じます。
お金を借りるということは、お金を貯めておいたり稼ぐことを後回しにして、取り急ぎお金を準備することでもあると言えます。
そして利息とはそういった先延ばしの手数料とも考えられます。
時間についても同じことが言えます。
何かを先送りにして時間を確保することは、余計に後から時間を使う「時間の手数料」が発生しがちです。
月並みですが、すべきことは適切なタイミングで取り組み、余裕のあるスケジューリングが大切です。
解説
時間の手数料
何かを後回しにすると、余計に自分の時間を消費してしまうことがあります。
例えば外食に行くときに、時間に余裕を持って準備し出かければスムーズに飲食ができるかもしれません。
一方で、準備を後回しにしたり時間がギリギリになると、ピーク時に重なり行列に並んだり渋滞に遭う可能性があります。
例えば確定申告などの手続きは、早めにやればスムーズですが締め切りが近づくにつれ、同じような状況の人で窓口は混み合います。
貧しい人ほど利息を払う
例えばお金に余裕がない人ほど、高い利息でもお金を借りてしまいがちです。
そうしなければ今この瞬間の生活が維持できないからです。
お金に余裕があれば、緊急の事態でもある程度対応ですることができます。
そうすれば高い利息でお金を借りる必要もありません。
余裕がないと高い利息でお金を借りてその場をしのぎ、そのあとで高い利息を払うためにまた余裕がないという悪循環に陥ります。
時間についても、同じことが言えます。
時間に余裕がないと利息は高くつく
スケジュールに余裕がなく、時間に余裕がない人は、時間の利息も高くなりがちです。
時間に余裕がない人は、今この瞬間に起きた緊急事態や、急に舞い込んだ「しないといけないこと」に対応が難しいです。
それらをこなすために、本来今すべきだったことを後回しにします。
作業というものは多くの場合、後からやろうとすると余計に時間がかかります。
例えば会議の記録は会議が終わった直後なら記憶が鮮明ではかどりますが、数日後にやると会議の内容を「思い出す」という過程が必要で余計に時間がかかります。
時間に余裕を持ち、その場その場の適切なタイミングで物事を処理できれば所要時間は短くて済みます。その余裕はさらに時間の余裕を生み出す良い循環となります。
先延ばしにするゆえの時間の利息に着目することは、時間術や仕事術における教訓の1つと言えるでしょう。
参考資料
センディル・ ムッライナタン、エルダー・ シャフィール『いつも「時間がない」あなたに 欠乏の行動経済学』早川書房、2015年 p146