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発達障害と実行機能の関係
実行機能は発達障害の媒介変数である可能性が指摘されています。
つまり実行機能不全が発達障害の直接的原因というわけではありません。
社会的認知能力に問題を抱えている場合に、実行機能不全も重なるとASDのリスクが高まるという説があります。
解説
実行機能不全と発達障害
自閉症スペクトラム障害(ASD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)などの発達障害と、実行機能不全の関連性が指摘されています。
実行機能をみる課題の1つにDCCS課題があります。
発達障害児を対象にDCCS課題にて実行機能を評価した研究によると、
ASD児のDCCS課題の成績は定型発達児のそれより低く、また課題中の脳活動にも違いが見られたそうです。
具体的にはASD児は右の下前頭領域の活動が定型発達児と比べて弱い様子が見られました。
発達障害の原因は?
しかしながら、実行機能不全が発達障害の直接の原因というわけではないという説が主流です。
発達障害に実行機能は関連するものの、実行機能が障害されることが直接的に発達障害を引き起こす原因ではないということです。
このあたりはまだ研究段階であるため断定はできませんが、実行機能は発達障害の媒介変数である可能性が指摘されています。
ASDの主たる原因は社会的認知能力の弱さと考えられています。
実行機能がカバーできる程度の社会的認知能力の弱さであれば、ASDの発症リスクは低くなり、逆に実行機能も社会的認知能力も低い場合は補償がうまくいかずASDのリスクが高くなるという考えです。
実行機能について
実行機能とは?(定義)
DCCS課題とは?
参考資料
『実行機能の初期発達,脳内機構およびその支援』(心理学評論刊行会)2021年11月6日検索
『自己制御と実行機能の関係の検証に係る諸問題』(心理学評論刊行会)2022年5月5日検索
『知的障害児のプランニングと抑制機能の支援に関する基礎的・実践的研究』(東京学芸大学)2022年5月5日検索
『心の理論の生涯発達における実行機能の役割』(心理学評論刊行会)2021年11月6日検索
『幼児版ストループ課題の作成』(公益社団法人 日本心理学会)2021年11月6日検索
『幼児における「心の理論」と実行機能の関連性 : ワーキングメモリと葛藤抑制を中心に』(一般社団法人 日本発達心理学会)2021年11月6日検索
『幼児における「心の理解」の指標としての嘘をつく行為と葛藤抑制能力との関連』(公益社団法人 日本心理学会)2021年11月8日検索
『言語ラベリングが実行機能課題に及ぼす効果とその持続性-幼児期に着目して-』(京都大学学術情報リポジトリ)2021年12月4日検索
『子どものGO/NO-GO課題と生活調査 : 日本の1998年と中国の1984年を比較して』(信州大学 他 国立国会図書館デジタルコレクション)2021年12月30日検索
『「乳幼児の脳を「go/no-go 実験」から分析し,成人らしい「活発型」へと変化・成長させていく取り組み』(白梅学園大学・短期大学 学術リポジトリ)2022年1月9日検索
『小学生における高次神経活動の実態とそれに及ぼす生活状況の検討:go/no-go課題における誤反応数と型判定の結果を基に』(日本発育発達学会)2022年1月9日検索