実行機能

実行機能の発達する時期と過程|幼児期の脳機能の発達

公開日:2022年8月10日


 
 

実行機能の発達過程

 実行機能はおおむね幼児期に著しく発達すると考えられています。

 また、その後の発達は比較的穏やかではあるものの、14~15歳頃の思春期に再び有意な発達のタイミングがあると考えられています。

 
 
 

解説

実行機能とは?

 実行機能とは「目標志向的な、思考、行動、情動の制御」とされています。

 つまり目的のために自分の考えや行動や気持ちをうまくコントロールできる力と言えます。

 IQといった知能・知識だけでなく、人生を豊かに生きるには非認知的な力が必要であると近年教育学界隈で言われています。

 実行機能はそういった非認知的な力にも関わる力と言えます。

 
 

実行機能が成長する時期

 実行機能を見る課題や実験によると、実行機能は幼児期に著しく発達すると考えられています。

 具体的には3歳頃から実行機能に関する課題の成績が統計的に有意に上昇していきます。

 実行機能に関する課題成績は13歳頃まで上昇しますが、8~13歳頃の間は統計的に有意な差とまでは言えません。

 このように、実行機能は幼児期に著しく発達し、その後に緩やかな時期がきます。

 しかしながら、8~13歳、14~15歳を比較すると、ここには統計的に有意な差が見られ、14~15歳という思春期頃に、実行機能が発達する興味深い時期が再びあると予想できます。

 
 
 

実行機能をみる課題の例

GO/NO-GO課題

 
 

DCCS課題

 
 

フランカー課題

 
 

AX-CPT課題

 
 
 

参考資料

『実行機能の初期発達,脳内機構およびその支援』(心理学評論刊行会)2021年11月6日検索

『自己制御と実行機能の関係の検証に係る諸問題』(心理学評論刊行会)2022年5月5日検索

『幼児版ストループ課題の作成』(公益社団法人 日本心理学会)2021年11月6日検索

『幼児における「心の理論」と実行機能の関連性 : ワーキングメモリと葛藤抑制を中心に』(一般社団法人 日本発達心理学会)2021年11月6日検索

『幼児における「心の理解」の指標としての嘘をつく行為と葛藤抑制能力との関連』(公益社団法人 日本心理学会)2021年11月8日検索

『子どもの認知発達の指標として「うそ」をとらえる』(日本心理学会)2021年12月29日検索

『日本語版 BRIEF-P の開発』(日本発達障害支援システム学会)2021年12月30日検索

『子どものGO/NO-GO課題と生活調査 : 日本の1998年と中国の1984年を比較して』(信州大学 他 国立国会図書館デジタルコレクション)2021年12月30日検索

『「乳幼児の脳を「go/no-go 実験」から分析し,成人らしい「活発型」へと変化・成長させていく取り組み』(白梅学園大学・短期大学 学術リポジトリ)2022年1月9日検索

『小学生における高次神経活動の実態とそれに及ぼす生活状況の検討:go/no-go課題における誤反応数と型判定の結果を基に』(日本発育発達学会)2022年1月9日検索

-実行機能

テキストのコピーはできません。