実行機能

実行機能の支援は必要か否か?|幼児期の非認知的能力

公開日:2022年9月20日


 
 

実行機能の支援の必要性

 発達の遅れにより実行機能に苦手さがある場合、実行機能に着目しアプローチすることは有意義と考えられます。

 しかしながら海外ほど貧富の差や家庭環境の格差がない日本においては、米国のデータは参考程度にとどめておくことが無難と言えます。

 
 
 

解説

実行機能とは?

 実行機能とは「目標志向的な、思考、行動、情動の制御」とされています。
 つまり目的のために自分の考えや行動や気持ちをうまくコントロールできる力と言えます。

 類似した概念で近年は非認知能力が注目されています。

 いずれにせよ人間の能力は知能検査で測れるIQだけでなく、多面的であることがわかります。

 
 

実行機能へのアプローチの重要性

 幼児期において実行機能が著しく低い場合、後の認知発達や社会性の発達に問題を抱える可能性があると考えられています。

 このため幼児期において実行機能に苦手さを抱える子供へのアプローチは重要です。

 しかしながらアメリカなどでの取り組みは低所得者層に属する子供を対象にすることが多く、家庭環境・教育環境にも課題がある場合が少なくありません。

 このため海外のデータや成果を日本にそのまま当てはめることができないと言えます。

 発達に遅れのある子供の実行機能トレーニングはある程度有意義であることが予想されますが、それがもたらす長期的な効用の詳細は研究の余地があると考えられます。

 
 

アメリカでの実行機能の研究

 以上を踏まえた上で、アメリカにおける実行機能のアプローチに対する見解を見ていきます。

 米国科学アカデミーの論文によると、10歳頃までの自己制御能力が32歳になったときの健康状態や薬物依存の程度、年収や社会経済的地位、犯罪歴などに関連する可能性が述べられています。

 より細かく見ると3歳から5歳までの早期の自己制御能力が、成人期の予測に関連すると考えられています。

 
 
 

参考資料

『実行機能の初期発達,脳内機構およびその支援』(心理学評論刊行会)2021年11月6日検索

『自己制御と実行機能の関係の検証に係る諸問題』(心理学評論刊行会)2022年5月5日検索

『知的障害児のプランニングと抑制機能の支援に関する基礎的・実践的研究』(東京学芸大学)2022年5月5日検索

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